大企業、事業分析ソフトウェアにいまだ懐疑的 〜デロイトの調査で判明

 業務用ソフトウェア市場で急成長を遂げている分野の一つが事業分析ソフトウェアだが、その効果を懐疑的にみる大企業幹部はまだ多い。会計大手デロイト・トゥーシュ・トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)が明らかにした。

 調査会社大手IDCによると、事業分析ソフトウェア市場は2012年に前年比8.7%増を記録し、2013年から2017年にかけての成長率は年平均9.7%増となる見込みだ。

 その一方で、調査会社ガートナーによると、2013年における世界の業務用ソフトウェア市場全体の伸びは6.4%にとどまる見通し。それでも、健全成長を維持することに変わりはない。

 ただ、事業分析ソフトウェア群が企業に利益を本当にもたらすのかどうか疑問を持つ大企業の幹部は少なくない。

 インベスターズ・ビジネス・デイリーによると、デロイトが多国籍企業大手130社を対象に、分析ソフトウェア導入による市場競争力の改善について調査したところ、「劇的に改善された」と回答したのは25%にとどまり、「わずかな改善につながった」と回答したのは29%、「そこそこの改善につながった」と回答したのは30%、「まったく改善しなかった」という回答は3%で、「不明」が14%という結果が出た。

 同結果は、事業分析ソフトウェアがほかの分野に比べて高い成長率を維持していることを裏付けるものではないと言える。にもかかわらず、事業分析ソフトウェアの市場規模が好調に成長しているのはなぜか。

 デロイトによると、その答は企業側の期待にある。分析ソフトウェアの効果に関する懐疑心はあるものの、不要だと考えているわけではなく、また、別の調査では、大企業幹部の96%は分析ソフトウェアの重要性が3年以内に強まると考えていることも判明している。

 しかし、その一方で、大規模データ(Big Data)の分析ソフトウェアを扱える従業員が不足していることが懐疑的見方を払拭させない要因になっているとも言える。

 調査結果によると、分析ソフトウェアが持つ本来の性能を引き出せる従業員が不足していると回答したのは42%に達し、回答者の31%は分析ソフトウェアに使われるデータが、限られた部署から少ししか集まってこない点を問題視している。

 デロイトの調査ではまた、分析ソフトウェアの導入に最も積極的な部署はマーケティング部門だということも判明した。回答企業のマーケティング部の55%は、分析ソフトウェアに投資している。

 事業分析ソフトウェアの分野では現在、オラクルやSAP、IBM、マイクロソフトが市場開拓に注力しているが、業界側が期待するくらいに普及するにはまだ時間がかかると予想される。

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