ソフトバンク、米国市場でも再現できるか 〜2大キャリヤーへの挑戦

 米国の無線通信サービス業界では、最大手のベライゾン・ワイヤレスと2位のAT&Tの力が強く、3位のスプリントや4位のTモバイルUSが2強から客を奪うことがかなり困難な状況だ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたUBSのデータによると、米国の携帯電話サービス加入者数は3億2600万人に上るが、過去3年間にベライゾンとAT&Tから離れた加入者はわずか1900万人で、その多くはその2社間でキャリヤーを切り替えたに過ぎず、スプリントやAT&Tに乗り換えたわけではない。

 米4大キャリヤーの加入者数合計は2012年にわずか330万人の純増で、そのすべてをベライゾンとAT&Tの2大キャリヤーが取り込んでいる。

 両社では、早期解約すれば違約金を払わなければならない2年契約の加入者や、他社への乗り換え手続きが複雑となる家族または企業加入の利用者が多く、顧客引き止めに成功している。2012年の顧客離反率は、ベライゾンが月平均0.91%、AT&Tは1.08%にとどまっている。

 一方、スプリントとTモバイルは、2012年の顧客離反率(月平均)がそれぞれ2.02%と2.35%に上り、そのほとんどをAT&Tかベライゾンに取られている。主因は、通信網の質にある。

 携帯電話通信網の構築には莫大なコストがかかるため、スプリントとTモバイルは、第4世代(4G)の高速無線通信規格の通信網構築で2強より大きく遅れている。

 スプリントとTモバイルは、通信網の4G化を全米規模に拡張させることで2強に対抗しようとしているが、その点については、ソフトバンクの登場によってスプリントがTモバイルに先行する形となった。

 ソフトバンクは7月に、スプリントの78%を買収しており、スプリントには巨額の資金が入った。そのため、豊富な周波数を持つ高速無線サービス会社のクリアワイヤーを完全子会社化し、その周波数を生かしてLTE通信網を全米規模に拡張する土台が整備された。

 スプリントでは、米国内で2億人の携帯電話利用者をカバーできるLTE通信網の構築を2013年中に完了させる考えだ。

 ソフトバンクは、2006年にボーダフォンを買収し、積極的な価格設定と通信網の改善、アイフォーン独占販売によって、NTTドコモやKDDIといった大手の牛耳っていた市場に切り込み、日本市場での加入者数を2006年の1520万人から2013年3月には4190万人に増やした。ソフトバンクは、それと同じことをベライゾンとAT&T相手に再現しようと狙っている。

 UBSによると、2012〜2013年にスプリントは300万人以上、Tモバイルは200万人以上の加入者を失ったが、2014年には各20万人と40万人増えると予想する。2強よりも安い価格設定や、新型機種への切り替えが簡単な制度、そして4G通信網の拡充によって、2強に対する競争力が強まる、というのがUBSの根拠となっている。

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