東芝の田中新社長、赤字事業を継続 〜パソコンとテレビから撤退せず
- 2013年8月8日
- ハイテク情報
東芝の田中久雄最高経営責任者(CEO)は、同社の赤字事業となっているパソコンとテレビの製造事業を継続する方針を明らかにした。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、6月にCEOに就任した田中氏は、ほかの競合社をまねして赤字事業から撤退する必要はないと話し、むしろ事業規模を活かす道を考えるべきだと述べた。
田中氏はまた、企業が多角化することによって本来の価値を喪失する「コングロマリット・ディスカウント」という概念を引き合いに出し、様々な技術を統合および組み合わせることによって個別事業の弱みを強みに転じることができると述べた。
日本の家電メーカー大手の多くはこれまで、何から何まで自社で製造し、複合企業へと成長した。しかし、ここ数年間に巨額の赤字を計上するようになって以来、事業の再編や人員整理、撤退に追われているのが実情だ。
たとえば、NECは先週、スマートフォン製造事業から撤退を発表し、パナソニックも赤字事業からの撤退あるいは売却をほのめかし、日立製作所も過去数年間に、携帯電話機製造部門とハード・ディスク・ドライブ(HDD)部門、薄型平面テレビ製造部門を独立させている。また、東芝自身も2010年に携帯電話機製造事業を富士通に売却している。
東芝のテレビ製造事業は2年連続で年間500億円以上の赤字を計上しているが、NAND型フラッシュ・メモリーや電力設備といった事業の好調によって損失を相殺し、社全体では3年連続で黒字を確保している。
ただ、同社のテレビ製造事業は韓国勢との激しい競争に敗れ、パソコン製造事業は、スマートフォンやタブレットの普及によって販売台数が激減し、両事業を復活させる要素は皆無の状態だ。
そうしたなか、田中氏は、2014年度上半期にそれらの赤字部門を黒転させる意向を示しているが、具体的な解決策はまだ示されていない。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
米技術大手ら、メキシコでの製造拡大に注力 〜 台湾の技術製品メーカーらに熱心に働きかけ
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
米国内都市圏の住宅所有者らは自然災害に要注意〜異常気象による損害危険の高い地域が明確に
-
2024年5月16日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ドライバーの過半数が「AVは怖い」~AAA調査
-
2024年5月13日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EVへの関心、ますます低下~消費者、メーカーの思惑に反し
-
インフルエンサーとブランドをつなぐプラットフォームで台頭 〜 ショップマイ、1850万ドルを調達
-
シンケイ・システムス、魚の活け締め技法を機械化 〜 完成に接近、鮮魚流通網に革新をもたらす可能性
-
ドキュサイン、インテリジェント契約管理サービスを発表 〜 電子署名ソリューション以外に事業を拡大
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開