職場への充電器導入〜EV普及の近道か
- 2013年8月22日
- 自動車関連
電気自動車(EV)は、充電施設が劇的に増えない限り本格的に普及しない可能性がある。このため、大手企業に充電器を置かせて普及を促そうという動きがある。職場に充電器があれば、勤務中にEVのマイカーを「満タン」にできて便利というわけだ。
ロサンゼルス・タイムズによると、EVオーナーは基本的に自宅で充電するが、それだけでは行動範囲が限られる。ただ、すべてのガソリンスタンドに充電器を併設すれば済む話でもなく、EVの充電には何時間もかかるため、その間の駐車場所の問題などが浮上する。その点、社員を大勢抱える企業に充電器があれば、駐車場の心配がなく、EVでの通勤可能距離が2倍に伸び、電池切れの不安が軽減される。
EV充電設備大手エコタリティ(Ecotality、カリフォルニア州)によると、職場の充電所は公共の充電所の3倍の頻度で使われ、2013年上半期はEV所有者の増加を反映して、職場の充電所の使用量が前年同期比61%も増加した。電気駆動輸送協会(EDTA)によると、EVとプラグイン・ハイブリッド車(PHV)の6月の米販売台数は8600台超と前年同月の約3300台から大幅に増えており、7月もPHV販売は3010台から5800台に増加したと推定される。一方、住宅を除く国内の充電所数は7月20日現在で公共、私設合わせて7849カ所。このうち1579カ所がカリフォルニア州にある。
充電設備業者の課題は、大手雇用者に「充電所の設置はコスト効果の高い職場の福利厚生である」と理解してもらうことにある。職場に充電所を設置する場合、設備の使用を有料にするか無料にするかは雇用主が決められるが、例えばエコタリティの会員制度「ブリンク(Blink)」の場合、会員になれば1時間の充電料金が2ドルから1ドルに値引きされ、売り上げの一部が雇用者に入る。
また、同業のチャージポイント(ChargePoint、同)の方式は、雇用主が年間契約料を払えば充電器の使用状況をチャージポイントが管理し、充電料は1回ごとに企業の銀行口座から引き落とされる。しかし最大の魅力は社員が得をすることにあり、チャージポイントのパット・ロマノ最高経営責任者(CEO)は「社員が燃料代を大幅に減らせるため、昇給と同じ意味がある。通勤問題を改善しながら生産性を上げられる」と指摘する。同社では、営業収入の半分を職場の充電所が占めている。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
メタ、雇用合意時に契約金1億ドルという異常な特典 〜 ザッカーバーグCEO、人工知能人材争奪戦をさらに激化
-
トランプ政権、暗号通貨を連邦住宅ローン資産としてあつかう方針 〜 ファニー・メイとフレディ・マックに指令
-
2025年7月10日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ウェイモの料金、運転手不要でもウーバーやリフトより割り高 〜10ドル高くてもロボタクシーを呼ぶ消費者
-
テキサス州オースティン、技術業界での地位に陰り 〜 サンフランシスコとニューヨークの雇用機会が増加
-
2025年7月7日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
車部品業者、先の読めぬ電動化ペースに苦慮
-
マイクロソフト、約9000人を解雇へ 〜 人工知能基幹設備への投資がかさむなか、人員整理でコスト抑制
-
食品配達ロボット、街中で孤軍奮闘
-
米従業員50人に一人が先進的な電子メール脅威に遭遇 〜 インセプション・サイバー、最新の調査報告で警鐘を鳴らす
-
米オンライン小売会社ら、年間平均40万ドル以上を人工知能に費やす 〜 ストーリーブロック、最新の調査結果を報告
-
2025年6月19日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
中国ロボタクシー企業、相次ぎ中東進出~参入障壁の低さが魅力