セルタワーからの落下事故が増加〜LTEへの更新作業に追われ

 設備更新が急ピッチで進む通信業界で、作業員がセルラー・タワー(無線通信塔)から落下する事故が増え、今年に入って10人以上が死亡、3人が重症を負っている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、業界では大手キャリヤー(通信サービス業者)が次世代高速無線通信網(4G LTE)の敷設を進めており、先行するベライゾン・ワイヤレスとAT&TをスプリントとTモービルが追っている。

 事故の多発を受け、連邦の労働安全衛生管理局(OSHA)は事故とキャリヤーとの関連を含めた新しい監督方法を検討しており、契約内容を精査して工期に関するキャリヤーからの圧力がなかったかどうかも調べている。通常、タワーに登る作業員は請負業者や孫請け業者に雇われ、現場にキャリヤーの社員はいないため、これまでは作業事故でのキャリヤーの責任を問うことが難しかった。

 OSHAによると、国内の通信タワー業界では約1万人が働いている。死者10人は一見すると大きな数ではなさそうだが、従事者当たりの比率でみると国内でも非常に危険な業界の1つで、OSHAは2008年、06年の殉職者18人という数字を基に、通信タワー業界を「漁業や林業を抜いて最も危険な職業」と発表している。

 その後死亡事故は減り、12年はわずか1件だったが、関係者によると今年は非常に忙しく、何週間も休みを取っていない作業員も多いという。ある工事責任者は「作業員は1日12〜16時間働いている。疲れると命綱の掛け忘れや掛け違いが起きやすい」と話している。

 作業員は、地上数百フィートの場所でサーフボード大のアンテナを交換したり、ケーブルの交換、故障機材の修理といった作業を行うが、動くたびに命綱を掛け外しするため時間がかかる。今月上旬、ノースカロライナ州にあるスプリントのタワーで起きた事故では、作業員(49)が地上約200フィートで命綱をタワーに固定しようとして失敗し、転落死している。

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