もう1つの天然資源も活用〜中東でソーラー発電が急拡大

 世界中で代替エネルギー発電への移行が進む中、石油の豊富な中東でもソーラー発電が急速に拡大している。

 フォーブス・コムによると、サウジアラビアは2032年までに電力の3分の1を再生可能エネルギーで賄うことを目指しており、12年にはソーラー発電用に1090億ドルの資金を集めると発表した。アラブ首長国連邦(UAE)は今年3月、アブダビで世界最大の集光型太陽熱発電所「シャムス1」を稼働させている。

 シャムス1を運営するのは、アブダビの代替エネルギー会社マスダール(Masdar)。同社は世界の太陽熱発電の約10%を開発しており、UAEでは2万世帯に電力を供給している。

 市場調査IHSの最新報告書によると、中東、南米、アフリカのソーラー関連支出は17年まで年率40%で増加し、欧米の5〜10%増というペースを大幅に上回ると予想される。世界のソーラー・パネル関連支出は14年に30%増加して30億ドルになる見通し。

 中東では、ソーラー・ブームに乗じて地域特有の水不足問題に取り組もうとする新興企業もあり、カルムソーラー(Karmsolar、エジプト)は太陽光発電による海水淡水化システムと給水ポンプ事業を試みているほか、ソラリスト(Solarist、同)は低価格でポータブルな脱塩機の提供を目指している。

 格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)によると、ソーラー関連の動きは石油価格の上昇に伴って活発化しており、04〜08年は関連契約が毎年増加して石油価格がピークに達した08年には31億ドルに上った。

 米エネルギー省は、50年までに米国の電力の27%がソーラー発電で供給されると見ており、ソーラー発電コストは10〜20年に75%低下すると予想している。石油の豊富なペルシャ湾周辺国にとっては、国内で消費する電力の多くをソーラーで賄うことができれば、その分石油を輸出に回せることになる。

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