VWとUAW、組合結成で協議〜テネシー工場にドイツ式労組導入へ

 フォルクスワーゲン(VW)は、テネシー州チャタヌーガ工場にドイツ式の事業所委員会(works council)を作るため、全米自動車労働組合(UAW)と労組結成に向けた話し合いを進めている。

 ニューヨーク・タイムズによると、ドイツの企業における事業所委員会は、ホワイトカラーとブルーカラーで構成され、労働者の立場から労働環境や生産性などの問題を会社側と話し合うための団体。しかし、米国では企業を後ろ盾とする違法な組合と見なされる恐れがあるため、VWは労働法に抵触しないよう、まずは正式に組合を作る必要があると考えている。

 このため同社は8月末、独ヴォルフスブルクの本社でUAW関係者と状況を話し合い、チャタヌーガ工場の社員(約2000人)にも9日までに、工場のフランク・フィッシャー会長と人事部長名の書簡でその経緯を説明した。

 ドイツの自動車メーカーが米国内工場に事業所委員会を作るのはこれが初めて。現在、外国の自動車メーカーが米国に所有する工場で労組があるのは、約1000人が働く三菱のイリノイ州ノーマル工場だけで、テネシーを含む南部にはない。

 南部の他の工場でも組合結成を試みてきたUAWのボブ・キング委員長は、「VWチャタヌーガ工場の労働者は、UAWと協力することで労使関係の新しい形を米国に紹介する特別な機会を持つことになる」と話している。

 一方、テネシー州のビル・ハスラム知事(共和)は、企業誘致の障害になるとの理由からあらゆる労組結成の動きに公然と反対している。3日にも「州が誘致を試みている別の企業から、テネシーへの熱が冷めるという声が出ている」と述べ、VWの動きをけん制した。

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