スバル売れすぎ、悩む富士重〜慎重戦略の見直し検討
- 2013年9月12日
- 自動車関連
富士重工業は現在、スバル・ブランドの自動車が売れすぎて困るというぜいたくな悩みを抱えている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、スバルの2013年1〜7月の米新車販売台数は前年同期比で27%も増加し、伸び率は市場平均の3倍を超えている。年間販売は、デトロイト3社のうち2社が経営破綻した09年を含めて6年連続で増加を記録する見通しだ。営業利益率も、米販売の増加と円安を受け、13年4〜6月期は12.7%とトヨタの10.6%を上回り、日本の自動車メーカーでは最高となっている。
日本にある2つの主要スバル工場はすでにフル稼働しており、日本の生産能力は今月末までに12年比で15%拡大し、米国でも16年までにインディアナ工場の生産を76%拡大して30万台に増やす予定だ。しかし、そうした控えめな対応も限界に近づいており、富士重はリスクを伴う大規模な生産拡張に乗り出すかどうか、難しい決断を迫られている。平均在庫が約60日分という米自動車業界で、スバルのスポーツ多目的車(SUV)「フォレスター」最新型の米在庫は15日分しかない。富士重は、長期的な成長が見込めるなら大規模拡張に踏み切る意向だが、今のところ「フォレスター需要はじきに冷める」と見ている。
BNPパリバのアナリストは「富士重は非常に小さなメーカーなので、どんなに慎重でも慎重すぎることはない」と指摘する。一方、スバルは初めてのハイブリッド車(HV)「XVクロストレック」を年内に米国で発売する準備を進めており、このテクノロジーにどれほど投資するかという問題もある。同社はHV市場への参入が遅く、カリフォルニア州で16年から施行される厳しい排ガス規制に適合するための100%電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)を持っていない。
スバルは長年、ニッチプレイヤーとして営業し、米国でも「アウトバック」などの根強いファンを持つが、過去5年間は日本市場の縮小を受けて米国事業に力を入れている。10年前には33%だったスバルの米販売比は、14年3月期には51%に拡大する見通しだ。
生産拡大にリスクが伴うことはどのメーカーでも同じだが、スバルは米市場シェアが2.6%と小さいため、特に慎重にならざるを得ない。新工場を1つ作れば年間生産が20万台は増える。それは大手のフォードにとっては世界生産の3.5%にすぎないが、スバルにとっては4分の1以上に相当する。
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