辞める社員の情報持ち出しに注意
- 2013年10月28日
- 米国ビジネス
テクノロジーの進化で退職する社員が会社の極秘情報を容易に盗めるようになっているため、会社側には対策が必要だ。
ウォールストリート・ジャーナルによると、退職に合わせて会社の情報を持ち出そうとする場合、かつては紙の書類をこっそりと外に運ぶ必要があったが、今は電子ファイルを携帯情報端末にダウンロードしたりオンライン・ストレージ・サービスにアップロードしたりと、極めて簡単にできる。
最近の例では、オンライン・ゲーム開発企業ジンガの社員が退職直前に電子ファイル460件をドロップボックスにアップロードし、その後同業のキックスアイに入社して訴訟に発展した事件がある。事件は最終的に示談が成立し、元社員はザンガの極秘情報を複製して持ち出したことを謝罪したが、最近の調査では回答者の半数が「転職する時に極秘のビジネス書類を持ち出したことがある」と答えるほど、情報持ち出し問題は広がっている。
セキュリティ専門家によると、情報流出を防ぐには、企業はまず守るべきデータとその保管場所を理解しなければならない。極秘情報はいろいろな部門に散らばっていることが多く、異なるコンピュータ・システムにまたがっていることもあり、所有するデータの全体記録を持っていない企業も多い。
次に、社員の退職と同時にデータ閲覧を止められるよう、どの社員がどの情報を見られるのか幹部が把握しておくことが重要。シマンテック、ウェブセンス、EMC傘下のRSAなどは、企業が極秘情報の動きをたどれて、各社の規定に従い特定情報が社外に出ないように設定できるデータ保護ソフトウェアを販売している。ハイテク調査ガートナーの予想では、情報保護ソフト市場は10年の3億ドルから13年には6億7000万ドルに拡大する見込み。
最後に、ITセキュリティ担当者は人事部門との連絡を密にして、解雇の予定や退職につながりそうな各社員の個人的問題などを把握しておくことが重要。ただし、国によって法律が異なるため、人事部門が共有する情報に関しては法務やプライバシー専門家に相談し、確認しておく必要がある。
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