シスコ、「モノのインターネット」部門を設立 〜 業界特化型システムを構築
- 2013年10月30日
- ハイテク情報
シスコ・システムズ(Cisco Systems)は、「モノのインターネット」戦略に特化した新しい事業部門を設立した。新事業部門は「インターネット・オブ・シングス」と呼ばれ、グイド・ジュレット氏が統括する。
ギガOM誌によると、同部門は、専門用途のハードウェアにソフトウェアを組み込んで販売し、シスコの得意とする通信網分野のノウハウを次世代の接続技術に融合させることを目指す。
モノのインターネットを構築するにあたっては、各業界独自の要件に応えることが重要になる。たとえば、鉄道業界では、線路やブレーキがすべて金属製のため、電子機器の周囲に多数の金属粒子が飛び交っている。鉄道用途の認定製品はプラスチックの筐体に収めることで金属が回路をショートさせないようにする必要がある。
また、鉱山現場では、回路から出る火花が地下火災の原因とならないようにする必要がある。
シスコの新事業部門では、それらの特殊なハードウェア要件を考慮したうえで、各業界に合わせた製品を開発する計画だ。
インテルやオラクル、ゼネラル・エレクトリック(GE)も、業界特化型の製品を開発しており、レガシー・データ(旧型システムに保存されているデータ)と新しい接続機能を橋渡しする機能を搭載している。
インテルでは、モノのインターネットで使われるデータの85%が業界特有の環境で生成されているため、この種のブリッジ・システム(旧システムと新システムの間でデータのやり取りを可能にするシステム)が必要だと説明している。
ジュレット氏は、同分野こそがシスコの強みを発揮できる部分だと考えている。「ほとんどの人はエンドポイントとゲートウェイの2段階の問題だと考えているが、実際にははるかに多くのことが必要になる」「スイッチやルーターが必要となるし、メッシュ・ネットワークも必要になるかもしれない」。
接続性を確立することは基本的なニーズかもしれないが、それに伴う費用が限界を生む可能性もある。たとえば、海底の石油掘削装置からは数テラバイトのデータが生成されるが、海洋の真ん中でそれだけのデータ接続を実現するには多額の費用がかかる。また、工場外へのデータ送信に際してセキュリティ・リスクが重要性を持つ場合もある。
「電算環境の多くがクラウドに移行するなか、工業分野はそれに逆らう傾向がある」。ジュレット氏は、今後、接続性によってどのような利点がもたらされるか、何が実現可能かを顧客に伝えていく必要もあると考えている。
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