アップルのプライムセンス買収の狙いとは 〜 テレビを超える応用に期待

 アップル(Apple)が動作検知技術新興企業のプライムセンス(PrimeSense)を買収したことで、アップルが近年噂されている平面テレビ開発に立体動作検知操作機能を組み込むという憶測が飛び交い始めた。

 しかし、ニューヨーク・タイムズによると、アップルによるプライムセンス買収は、テレビ向けの新機能を超えた幅広い応用の可能性を秘めている、と指摘する業界専門家の見方もある。

 「非常に優れた3D検知器があれば、モバイル機器や居間での娯楽についてたくさんの面白いことができる」と、クリエイティブ・ストラテジーズ(Creative Strategies)のベン・バジャリン氏は話す。

 動作検知器技術は何年も前から実用されているが、今のところ用途のほとんどはビデオゲームだ。マイクロソフトは3年前に、プライムセンスが開発に携わった動作検知器のコントローラー「キネクト(Kinect)」を「エックスボックス(Xbox)」に採用した。

 マイクロソフトは昨年、キネクトの別版を商業応用する計画を発表した。買い物客が正しいサイズの洋服を見つけるのを支援するといった機能が例として挙げられる。

 アップルの資本力と野望を背景に、立体検知機能は新たな方向へと踏み出す可能性がある。アップルは、マウスに始まり、アイポッド(iPod)の輪型コントロール、携帯機器のタッチスクリーン、音声操作など、利用者が機器を操作する際の新たな方法を他社に先駆けて導入してきた歴史がある。

 バジャリン氏は、アップルが立体検知器をテレビに導入するだけで満足するとは思えないと述べ、テレビ以外での革新的活用法を視野に入れていると話す。

 同氏は以前、キネクト利用者125人を対象に調査し、手振りや身振りによってテレビを操作する機能に関心がないという結果が出たことを指摘。テレビ操作については、動作による操作よりも音声による操作のほうが人気が高かったという。

 立体検知機能では、「家のなかを歩くだけで、ホーム自動化を操作できる」といった機能も可能となる。屋外作業現場や製造工場でも立体検知機能は応用方法を容易に見つかられる可能性がある、と同氏は考える。

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