蓄電装置導入を電力業界に義務付けへ 〜 カリフォルニア、日没後の電力確保で

 産業界や住宅でソーラー発電が普及するカリフォルニアでは、夜は発電できないというソーラー技術の欠点を補うために、大容量の蓄電システム導入を電力会社に義務付ける計画が進められている。

 ニューヨーク・タイムズによると、カリフォルニア州ではソーラー・パネルの設置容量が2006年以降10倍に激増しているが、常に発電できるわけではないため、日没後に電力会社の配電網で需要が急増するという問題が起きており、パネルの導入拡大によって問題はさらに深刻化すると懸念される。

 そのため、カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)は2013年10月末に、電力会社に対して全米で初めて、日射しが強まる午後に生産される電力の余剰分を蓄え、日没後に供給できるよう何らかの蓄電設備を導入することを義務付ける命令を出した。

 同対策は2014年から段階的に実施される予定だが、導入にかかるコストをだれがどう負担するかは不明。

 電力会社は数年前まで、天然ガスや石炭を使った在来型の発電所で夜間に生産した電力の余りをためておき、夕方以降のピーク時に使うことを検討していたが、新しいシステムはそれとは正反対となる。

 新システムの重要な目的は、ソーラー発電で配電網の電力需要が下がる午後も発電所の発電機を回し続けさせることにある。発電機は一度止めると急には再開できないため、配電網の電力需要が急上昇する日没後に備えて運転を続けておく必要がある。発電所は2020年までに午後約3時間で発電量を2倍に増やさなければならなくなると推測されるが、それは現在の能力では追いつかない。

 カリフォルニア州では沿岸部の細長い地域に電力需要が集中しており、地域全体がほぼ同時に日没を迎えるため、特にその問題が著しい。電力会社が大型蓄電池を設置すれば、需要の変化に応じて柔軟に対応できるようになると考えられる。

 それに対しソーラー業界は、ソーラー発電が増えれば全米の送電網も対応する必要があると認識しつつも、極端な需給変化に関しては問題が誇張されすぎているとみている。

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