蓄電池市場、大幅な成長へ〜日本やドイツの政府補助で

 蓄電池市場は、日本の新しい政府補助制度などを受け、堅調な成長が見込まれている。
 ロイター通信によると、日本の経済産業省は3月、太陽光発電(PV)の予備システムとして1キロワット時(kWh)以上の定置用リチウムイオン蓄電池を設置する消費者を対象に、総額100億円を補助する制度を発表した。市場調査のIHSは、これで2014年に増える蓄電容量が100メガワット(MW)近くになると予想している。
 補助率は機器コストの3分の2以内で、上限は個人向けが100万円、法人向けは1億円。この制度は、東京電力福島第1原子力発電所の事故による国内原発の稼働停止で再生可能エネルギーの導入が拡大する中、電力の安定供給を目的に作られた。蓄電池の使用が増えれば、日射しの強い午後などに起きる電力網の電圧低下を軽減できるほか、消費者によるより細かい電力消費管理を促進できる可能性がある。
 ドイツも、PVを設置する消費者に自家発電システムには蓄電池を含めるよう促すことで、生産者でありながら消費者でもある生産消費者(プロシューマー)型のエネルギー活用方式を推進しており、蓄電池導入コストの30%を補助する制度を約1年前から実施している。
 ドイツでは、政府が助成するPVの固定買い取り価格が大幅に低下したため、PVと併せて蓄電池を設置し、生産した電気を自分で使うか電力網に売るかを状況に応じて判断することが重要になっている。
 IHSのアナリスト、サム・ウィルキンソン氏は、電力網とつながる蓄電市場の日本のシェアは14年に12%、ドイツは11%に達すると予想する。さらに、2国の再生可能エネルギー政策は世界の見本としてPVの劇的な成長とコスト削減につながっていると見ており、17年には世界の蓄電容量が6ギガワット(GW)増え、こうした伸びにより蓄電コストが約30%低下し、新しい市場や応用が経済的に可能になると予想している。

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