グーグル・グラス、ER医師の標準装備に

 グーグルの眼鏡型情報端末「グーグル・グラス」が、医療分野で導入され始めている。

 ボストン・グローブによると、ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターでは、救命に役立つとの理由から昨年末にグーグル・グラスが試験導入され、同病院のスティーブン・ホーン医師がその効果を実証した。

 今年1月のある夜、男性患者は脳出血で担ぎ込まれ、一刻も早く降圧剤を投与する必要があった。男性はホーン医師に「一部の薬にアレルギーがある」と告げたものの詳しい種類が分からず、ホーン氏に過去のカルテを調べる時間やコンピュータで記録を検索する時間はなかったが、装着中の「グラス」で必要な情報をすぐに呼び出せたため適切な薬を投与できた。

 同病院は今週、グラスの使用を救急救命(ER)部門全体に広げ、ER医師の標準装備にすると発表した。日常的な治療にグラスを取り入れた病院は全米初となる。

 ベス・イスラエルのグラスは、サンフランシスコの新興ハイテク企業ウェアラブル・インテリジェンスが調整した物で、クイック・リスポンス(QR)コードが読めるようになっている。同病院の入院病棟には部屋の外に各患者のQRコードが貼られ、医師が入室する前にグラスでこれをスキャンすると、院内データベースの関連記録がスクリーン上に表れる。

 グラスのスクリーンには目障りにならないよう情報が一度に数行ずつ表示され、頭を傾けると追加情報をスクロールできるように設定されている。グラスの利点は、手を使わずに操作できるほか、常に起動中で目の前にあり、いつでも情報を入手できること。患者と話をしながらでも相手から目を離さず、部屋を出たりすることもなく素早く情報を得られる。

 グラスはベス・イスラエルのほかにも、全米の病院や診療所で、専門医との遠隔会談、手術の撮影や補助、患者の生命徴候といったデータへの迅速アクセス、医師のメモといった用途で試験導入されている。

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