米国産原油、40年ぶりに輸出〜法の拡大解釈で実現
- 2014年8月5日
- 米国ビジネス
約40年ぶりとなる米国産コンデンセート(超軽質原油)の輸出が、4日までに始まった。
ウォールストリート・ジャーナルによると、連邦法は国産原油の輸出を禁止しているが、近年のシェール・ブームなどを受けて規制が緩和され、ついに7月下旬、40万バレル以上のコンデンセートを積んだ石油タンカーがテキサス州のガルベストン・ターミナルから韓国に向け出港した。
この原油は韓国の製油所GSカルテックスがテキサスの石油会社エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズから購入したもので、業界関係者によるとアジア企業との交渉はほかにも進んでおり、今後こうした輸出は増える可能性がある。
現行の連邦法は、1970年代のオイルショックを受けて制定され、ガソリンやディーゼルといった精製燃料は輸出できるが、未精製の原油は特別許可がない限り輸出を禁止している。許可は商務省の産業安全保障局(BIS)が出しており、これまではカナダ向け輸出を認めることが多かった。
米国内の石油生産は最近まで減少傾向にあったため、輸出は特に話題にならなかったが、シェール革命で状況は一変し、生産は11年末以降約48%も増加して、現在は1日約840万バレルに上っている。特に超軽質原油は生産過多で値下がりが始まり、掘削や生産は拡大しているため、価格はさらに低下すると予想されている。
この対策として業界は輸出禁止法の撤廃または緩和を議会に働きかけているが、輸出を解禁すれば国内のガソリン価格が高騰するのではないかとの懸念もあり、政府は慎重な姿勢を崩していない。
そこでエンタープライズは「原油から一部の不安定な成分を取り除く処理を施せば輸出可能な燃料の条件を満たす」と法を拡大解釈して許可を申請し、認められた。この処理は、通常の精製工程にはほど遠いが、全米の油田で一般的に行われており、関連機器メーカーによるとコストは50万〜500万ドルで、製油所の建設に比べるとはるかに少額で済む。
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