IBM、最先端半導体「シナプス」を開発 〜 脳機能を模倣したIoTの実現に前進
- 2014年8月13日
- ハイテク情報
IBMは「考えるモノのインターネット(Brainy Internet of Things)」の実現を視野に、人間の脳が情報を処理する仕組みを模倣した半導体「シナプス(SyNAPSE)」を開発した。
シナプスは米国防総省の国防高等研究事業局(DARPA=ダーパ)助成制度「シナプス(SyNAPSE)」(神経形態学的適応可能プラスチック拡張可能電子システム=Systems of Neuromorphic Adaptive Plastic Scalable Electronic)によって開発された。
データメイション誌によると、シナプスは54億個のトランジスターを搭載し、2億5600万個のプログラム可能シナプスと、100万個のプログラム可能ニューロン、4096個のニューロシナプティック(neurosynaptic)コアなどから構成され、1ワットあたり毎秒460億のシナプス動作を実行できる。
2011年に開発された単一コアの試作品は、26万2144個のプログラム可能シナプスと256個のプログラム可能ニューロンを搭載していた。
IBMによると、今回の第2世代シナプス半導体は「最大のシーモス(CMOS=complementary metal-oxide-semiconductor)半導体の一つ」で、イベント駆動型アーキテクチャーを採用し、消費電力を「近代マイクロプロセッサーに比べて桁違い」に小さいわずか70メガワットに抑えた。
イベント駆動型アーキテクチャーとは、待機時にも電力を消費する従来の半導体と異なり、必要時だけに電力を消費する設計のこと。
シナプスは、サムスン電子(Samsung Electronics)の28ナノメートル半導体加工技術を使って構築された。
IBMリサーチ(IBM Research)で脳機能電算(Brain-Inspired Computing)に従事するダーメンドラ・モダ主任研究者は、最新半導体が「モノのインターネット(IoT)」システムやモバイル端末の機能向上に資する可能性に期待。
「脳機能模倣半導体の登場は、ワイファイ不要で手のひらに収まる感覚的インテリジェント・アプリケーションを可能にし、モビリティーを変える可能性がある」と同氏は話した。
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