併設診療所でも価格破壊〜ウォルマート、医者代1回40ドル
- 2014年10月21日
- 米国ビジネス
8年前に一部の処方薬をわずか4ドルで提供して注目された小売り大手ウォルマート・ストアズが、今は店舗併設型の診療所事業で価格破壊に取り組んでいる。
ウォールストリート・ジャーナルによると、同社は半年前、国内でプライマリー・ヘルスケア(PHC=かかりつけ医療)事業に参入し、テキサス、サウスカロライナ、ジョージア3州で12軒の「ウォルマート・ケア・クリニック」を営業中。年内に17軒まで増やす予定だ。
一般的な店内診療所では急性の病気の治療しか受けられないが、ウォルマートのクリニックは糖尿病など慢性病の治療も行う。1回の診療代は40ドルと業界標準の約半額で、同社の保険に加入する社員やその家族はわずか4ドル。また、妊娠検査は3ドル、コレステロール検査は8ドルとなっている。
同社の保健事業担当者ジェニファー・ラペール氏は、「当社は価格面の指導的立場を重視しているため、医療分野でも小売価格を設定することは非常に重要だった」と説明する。クリニック事業を全米展開するかどうかは未定で、現時点では、無保険者や不十分な保険に加入する人が多い地域、慢性病患者の多い地域、医者の少ない地域、社員が多い地域に限定している。
これまでクリニックを訪れた患者の約40%にはかかりつけ医師がいない。この事業を拡張する場合、小売り大手ターゲットやドラッグストア大手ウォルグリーン、CVSヘルスと競合することになり、治療代の価格戦争が始まる可能性もある。
ウォルマートのクリニックで受け付ける保険は、社員向け保険以外では連邦の高齢者保険「メディケア」で、サウスカロライナとジョージアでこれに連邦と州の低所得者向け扶助制度「メディケイド」が加わるのみ。このため一般消費者向けではないが、ウォルマートにとっては会社の医療コスト削減やスーパーセンターの集客に貢献する可能性がある。
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