TIとシスコ、機械インテリジェンスで復調 〜 技術業界老舗大手の軌道修正

 テキサス・インスツルメンツ(TI=Texas Instruments)とシスコ・システムズ(Cisco Systems)という技術業界老舗大手2社は、機械インテリジェンスという新しい技術傾向に対応し業績復調をみせている。

 ニューヨーク・タイムズによると、シリコン・トランジスターの第一号の製造で知られる創立63年のTIは、無線製品向けデジタル半導体の販売が低迷し、数年前に業績不振に陥ったが、その後、安価で低機能だが利益率の高い非デジタル半導体に注力する戦略見直しが奏功し、過去5年で株価が143%上昇した。

 今後は、従業員50人程度で数種類の製品を手掛ける小規模メーカーを対象に、半導体製品をオンライン販売する計画だ。

 かたや、シスコ・システムズ(Cisco Systems)は第2四半期決算で売上高119億ドル、調整後純利益27億ドルを計上し、いずれも金融専門家の予想を上回る好業績を記録した。

 同社もここ数年で大掛かりの改革を実行。経営陣の30%を刷新し、従業員の40%を通信網機器といった従来の中核事業から、ソフトウェアや特定業界向けアプリケーション、協業およびクラウド電算分野に配置換えした。

 シスコはそれにともなって従業員7万4000人のうち6000人を解雇し、新たな人材を6000人雇用した。

 TIもシスコも、従来のように機械工学の改良というよりは、モニタリングとコンピュータ解析によって性能を改良する機械インテリジェンス(machine intelligence)に注力し、業績を好転させた。

 シスコのジョン・チェンバース最高経営責任者(CEO)は、数年以内に「シスコはナンバーワン情報技術会社になる」と話す。

 同氏は、インテリジェンス搭載機械からの信号をローカル・コンピュータやクラウドに送る「ネットワーク・インテリジェンス」の提供がシスコの役割と説明。将来には医療分野でゼネラル・エレクトリック(General Electric)と提携し、家電分野ではボシュ(Bosch)と提携する可能性を示唆した。

 また、自治体の水道システムの刷新をはじめ、競技場や大規模商用施設内の人の動きを追跡する機能について政府や大手企業にコンサルティング・サービスを提供し、インテリジェンス搭載製品を利用する包括システムを提供することがシスコの目標だとチェンバース氏は述べた。

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