ジャスパー、セールスフォースおよびSAPと提携 〜 IoTサービスを一気に強化

 モノのインターネット(IoT=Internet of Things)は、収集したデータを情報知識と組み合わせることで新たな価値を生み出すプラットフォームとして成長が期待される。

 5日に閉幕したモバイル・ワールド・コングレス(MWC=Mobile World Congress)では、IoT企業のジャスパー・テクノロジーズ(Jasper Technologies)がIoTデータ活用を目的にセールスフォース(Salesforce)ならびにSAPとの提携を明らかにし、関心を集めた。

 ジャスパーは、モバイル通信サービス事業社(キャリヤー)経由でサース(SaaS=Software as a Service)プラットフォームを法人向けに販売する。企業各社はそれを利用し、現場で使われる製品や機器を監視および制御できる。

 通信網に接続された端末(接続端末)は、端末メーカーに継続的なサービス収入をもたらす可能性がある。複写機メーカーが複写機を企業に貸し出すことで、長期にわたりサービス料金を徴収するのと同じ仕組みだ。

 コンピュータワールド誌によると、企業はいまやソフトウェアをサービスとして購入しており、ジャスパーのマカリオ・ナミエ戦略担当副社長は、それと同じように「モノ」もサービスとして購入したいと考える企業が出てきていると指摘する。

 端末メーカーはそれについて、接続端末の稼働状況や、それがいつどのように使われたかといったデータをリアルタイムで収集することが可能になると考えている。

 たとえば、営業担当者らは、顧客に販売した接続端末の利用状況や故障の有無といった情報を収集することで、顧客に関する理解を深め、サービスや製品の改良につなげることが可能になる。

 ナミエ副社長は、そうした新たなデータセットを「今日のセールスフォース(製品)において欠けているもの」と表現する。

 ジャスパーとセールスフォースの提携には、それぞれの製品を連携させることでそういった状況に対処し、顧客企業を増やそうという狙いがある。

 ナミエ副社長によると、最終的にはジャスパーのデータセットと利用者インターフェイスをセールスフォース製品に組み込む計画だ。

 ジャスパーはそれと同時に、同社プラットフォームをSAPの大規模データ(big data)解析製品ハナ(Hana)システムに統合することでSAPとも提携した。

 技術者や顧客担当者らはそれによって、自社製品が現場でどのように使われているかを理解し、問題発生時にその根本原因を分析できるようになる。

 ジャスパーは、中国市場の開拓強化を目的にチャイナ・ユニコム(China Unicom)との提携もMWCで発表した。

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