スラック、企業向けAIツール開発を強化 〜 労働生産性を20〜30%向上

 2009年創業のスラック・テクノロジーズ(Slack Technologies、サンフランシスコ拠点)は、同社初のデータ科学者たちを採用し、今後は人工知能(AI)の開発に注力する計画を打ち出した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同社が開発した内蔵型仮想オフィス・アシスタント「スラックボット(Slackbot)」は、パソコン画面にポップアップするアイコンで、利用者はそれを使うことで、各種の情報や助言の取得、または検索を実行できる。スラックボットはさらに、人間が書いたユーモアを話すこともできる。

 スラックのスチュワート・バターフィールド創業者兼最高経営責任者(CEO)はスラックボットについて、自然言語処理と機械学習に対応した質疑応答ツールとして法人向けに開発を進めると話している。それによって、会合の日時設定をはじめ、日常的に発生する時間のかかる作業をスラックボットによって実行できるようにする。

 パーソナル・アシスタントとしてもっとも知られるのは、アップル(Apple)がiOSに搭載した音声認識機能のシリ(Siri)だが、バターフィールド氏はシリを一蹴する。

 「アップルはシリに何十億ドルも投資し、何百人もの技術者と大規模音声データ・セットを使って長期間にわたって開発したにもかかわらず、シリはほとんど役に立たない」と指摘。

 同氏は、スラックボットの今後の開発の難しさを認めながらも、AI専門の知識を持つ企業との提携によってスラックボットが最強の仮想アシスタントになると強調する。

 同氏は、スラックボットをさらに進化させることで、たとえば、だれがどのプロジェクトに関与し、どのような問題がどこで発生し、あるいは、だれがいつまで休暇中かといった社内情報に簡単にアクセスできるようにし、ある目的を持った班の全参加者を同時に支援する仮想アシスタントに向上させることで、企業の労働生産性を20〜30%向上できると説明する。

 フェイスブック(Facebook)も、AIツールによる生産性向上に注目する企業の一つだ。同社が開発中の「マネーペニー(MoneyPenny)」は、写真や動画のなかの人間のやり取りを認識し、文章から感情を分析することを学ぶというもの。

 フェイスブックはマネーペニーの導入時期や方法を明らかにしていないが、企業向け協業用プラットフォーム「フェイスブック・アット・ワーク(Facebook At Work)」に採用される可能性もある。

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