鉱物採掘業界、技術導入に注力 〜 検知器、分析、ロボット、ドローンに投資

 世界の鉱物資源採掘大手らは現在、インターネットに接続された検知器類と関連の分析ソフトウェアをはじめ、ロボットや無人飛行機(ドローン)といった技術の現場導入を積極化させている。

 その代表的存在として挙げられるのは、グレンコア(Glencore)やBHPビリトン(BHP Billiton)、リオ・ティント(Rio Tinto)、ヴェール(Vale)だ。

 フォーチュン誌が報じた調査会社IDCの調べによると、鉱物採掘業界は現在、1)安全性の向上、2)事業資産の管理自動化、3)採掘業務の管理と自動化、という3分野の強化に注力している。

 世界190社の採掘会社を対象にIDCが実施た調査によると、3分の2は、遠隔操作や遠隔監視システムの技術導入を模索し、半数は、新たな採掘方法の開発に取り組んでおり、3分の1はロボティクスに注目し、そして4分の1はドローンの活用を検討している。

 その背景には、鉱物採掘業界の事業環境が昨今、厳しくなっていることから、事業運営の効率化による生産性向上に迫られていることがある。

 事業環境の悪化要因には、まず、鉱物資源の価格変動の激しさがある。中国での需要鈍化や上海株式市場の暴落がその一因だ。また、採掘現場がさらなる辺境地に移り、運営や管理が複雑化していることも挙げられる。

 それに加えて、鉱物価格に対する産業界の敏感さも強まっている。たとえば、米自動車製造大手のフォードでは、鉄鋼価格を緻密に追跡する専門部隊を編成し、少しでも安い鉄鋼を少しでも安い時期に買い付ける調達手法を強化している。

 IDCの調査結果では、190社の83%が2015年の技術投資予算について前年から横ばいか増額と回答している。

 採掘業界各社では、データ技術が業務効率化に大きく貢献することを認識しており、検知器やロボティクス、ドローン、データ分析を最大限に活用することで、採掘コストを抑えながら、良質の鉱物を生産し、その価格を抑えることが生き残りの条件になると考えている。

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