データ漏えい、最大の原因は廃棄機器 〜 消去もれ、被害額平均は380万ドル

 データ漏えいといえば、どこか遠くの国の見知らぬ一室でハッカーらがパソコンに向かってカシャカシャとキーを打ちながら、企業や政府機関のコンピュータ・システムに侵入して情報を盗み出す光景を連想させる。

 しかし、実際には、データ漏えいがもっとも起きるのは、廃棄されたIT機器からだ。

 マニュファクチャリング・ビジネス・テクノロジー誌によると、用心深い利用者や企業、政府機関では、古くなったパソコンやサーバー、複写機、そのほかの電子機器を処分する際、データを完全に消去して廃棄しているが、消去しきれずに重要データが残されたまま捨てられる機器が半分くらいある。そういったデータを徹底的に消去するサービスを提供する会社もあるほどだ。

 消去もれによって大損害を受けた企業の例もある。たとえば、保険会社アフィニティー・ヘルス・プラン(Affinity Health Plan)は、廃棄する複写機のハード・ドライブの情報を完全に消去できなかったために、35万人の保険加入者の個人情報漏えいを引き起こし、総額120万ドルの罰金を払うことで米保健福祉省と2013年に和解した。

 また、ロヨラ大学では、5800人の学生の個人情報が保存されたコンピュータのデーターを消去せずに廃棄したことで激しく批判された。

 そのほか、サウス・ショア・ホスピタルは、暗号化されていない473本の予備保存用テープを紛失した。そのなかには80万人の個人情報が保存されていた。同社は75万ドルを和解金として支払った。

 IBMが実施たデータ漏えい損害調査結果によると、2014年におけるデータ漏えいによる損害額平均は、前年同期比23%増の380万ドルに悪化した。また、データの紛失や漏えいによる和解金の平均は一人あたり145ドルだった。

 一方、調査会社ガートナーの調べによると、データ保護に関する2014年の支出は前年比8%増を記録した。

 近年では、企業や団体、政府機関では、電子機器を廃棄する際、保存されいてるデータを完全に消去する手法や対策が規定されいるが、それらに準拠することが徹底されていないことが、そういった事故の原因となっている。

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