買っているのは消費者ではなく保険会社 〜 スマート住宅機器類で損害回避

 アクセンチュアの調査によると、保険業界は昨今、家庭向け接続機器メーカーとの提携によって、スマート住宅機器類の普及に貢献している。

 保険会社の45%は、スマート住宅機器類が向こう3年間の保険業売り上げ増に貢献すると考えている。

 スマート住宅機器メーカーらにとっては、消費者による購入がまだ低調であるため、保険業界との提携が機器販売の大きな原動力になっている、とアクセンチュアは指摘する。

 フォーチュン誌によると、おもにスマート室温調節器をはじめ、接続型の玄関呼び鈴や水道漏れ検知器、報知器類といったスマート住宅機器類は約3年前に登場したが、大部分の消費者はそれらに250ドルも支出することを正当化できていない。実質的には、富裕層のおもちゃと位置づけられ、大衆市場には程遠い。

 保険業界大手のステイト・ファームでは、キャナリー(Canary)と呼ばれる包括的セキュリティー機器を保険加入者に提供する計画を進めている。

 また、業界大手のアメリカン・ファミリー(American Family)でも、接続型玄関呼び鈴開発新興企業リング(Ring)と提携し、機器購入者に割り引きを提示するとともに、侵入被害にあった加入者に対し払い戻しを実施している。

 アメリカン・ファミリーはさらに、スマート室温調節器メーカーのネスト・ラブズ(Nest Labs)が提供するネスト・プロテクトという火災報知機の購入費を加入者に代わって負担する。

 そういった動きは、保険加入者がスマート住宅機器を使うことによって損害や被害を回避でき、その結果、保険金の支払い額を抑制できるという保険会社の狙によるものだ。

 自動車保険業界でも似たような動きはすでに活発化しつつある。自動車保険業界も、各種の車載機器とデータ通信を活用して安全運転を奨励し事故を防ぐことで、保険金の支払いを抑えようとしている。

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