各種のデータにもとづく「人間解析(people analytics)」を人事関連の意思決定に活用する企業が近年増えている。既存社員の能力や業績を適切に把握できれば、従業員の雇用や訓練、昇格について、より良い選択が可能になる、という認識がその背景にある。
アントレプレナー誌によると、持ち株親会社アルファベット(Alphabet)傘下のグーグル(Google)も、データ解析結果にもとづく意志決定を重視する企業の一つで、それを人事関連に適用している。
グーグルでは人事部を「ヒューマン・オペレーション(人材運営)」と呼び、適材適所の実現によって顧客サービスを改善し、経費を最小化しつつ生産性を上げることを重視している。
一方、エンジニアリング企業のスタンテック(Stantec)は、データ解析によって従業員の離職や解雇を予測し、早目に対処することで人材不足を回避している。
そういった企業では、人材に関するほぼすべてのデータや情報をデータベース化して、分析アルゴリズムを活用し、個々の従業員の能力や傾向、各部署の人材状況、辞職する可能性の高い人材、各班の生産性を数値化または視覚化し、その分析結果にもとづいた人事采配を実行している。
かたや、小規模企業も人間解析によって大手企業の場合と同様の効果を期待できるとみられる。ただ、中小企業では、従業員に関する情報収集に必要な資源が十分にない場合が多い。
そこでグーグルは、雇用に関する一般情報を集めたプラットフォーム「リ:ワーク(re:Work)」というオンライン・ツールを提供している。利用者は記事や事例、専門家の助言といったかたちでまとめられた雇用に特化したグーグルの調査結果を検索できる。
グーグルはまた、人間解析ツールの採用を検討中の企業への支援策として、設定や利用方法についてのグーグル独自の指針や指南をまとめた。企業はそれを活用することで、会社の規模にかかわらず、適切な面接手順や回数、そのほかの人事采配をグーグルの経験から学ぶことができる。
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