エルニーニョからラニーニャへ 〜 穀物価格への影響は限定的か

 今年は昨年からのエルニーニョ現象が衰退し、代わってラニーニャ現象が発生すると予想されている。異常気象を引き起こすこれらの変化は米国の農作物生産にも影響を及ぼしそうだが、穀物市場が極端に高騰する可能性は低いというのが市場関係者の見方だ。

 南アメリカのペルー沖から太平洋の中央までの広い海域で、海面の水温が局所的に異常上昇する現象をエルニーニョと呼び、逆に同海水域の海水温が低下する現象がラニーニャと呼ばれる。

 ロイター通信によると、ラニーニャ現象が起きると米国の主要農産地に暑く乾燥した天候がもたらされ、作物が不作になる可能性があるが、現在はトウモロコシや大豆の国内外の供給量が豊かな上、ラニーニャの発生は穀物の成長後になる可能性もあり、農作物への悪影響が誇張されすぎているとの声もある。

 過去のエルニーニョからラニーニャへの転換期には、トウモロコシの先物価格が平均で39.4%、大豆は31.8%上昇し、直近の10年にはトウモロコシが51.7%、大豆は34%も高騰した。しかし、農家はこの3年価格低下に苦しんできたため、今回はこれまでのように価格が高騰するまで待ったりせず、価格回復の兆候が見えた時点で売ることが多い。

 「ラニーニャを見越して何か予定を変更するか?」と聞かれたカンザス州オバーリンの農家ロジャー・メイ氏は「何も変えていない。価格変動でもうけを狙うより収入を安定させたい」と答えた。取り引きが活発なシカゴ商品取引所(CBOT)における2016年1月の先物契約は、トウモロコシが3.7%、大豆は2.2%の上昇にとどまった。

 1950年以降に起きた6回のエルニーニョ/ラニーニャ転換期の収量は、トウモロコシが平均8.9%減、大豆は6.5%減で、最も落ち込みが大きかった88年はトウモロコシが29.4%減、大豆は20.4%減となった。農務省によると、15〜16年は国内のトウモロコシと大豆の供給量が増加すると予想され、15年12月1日時点では過去最高水準を記録している。

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