テロ対策かプライバシー尊重か 〜 世論は真っ二つ

 銃乱射事件の容疑者が使っていたiPhone(アイフォーン)のロック機能解除を求める連邦政府の要請を、メーカーのアップルが拒否している。テロ対策とプライバシー保護のどちらを優先すべきかに関しては、世論も2つに分かれている。

 ニューヨーク・タイムズによると、世論は過去15年の間でも移り変わりが激しく、テロ攻撃を身近に感じるかどうかで違ってくるが、最近は賛否がわずかな差で張り合っている。2015年11月にパリでテロ攻撃があった直後に行われたCBSニュースの調査では、米国人の54%が、党派にかかわらず政府のテロ対策によってプライバシーが失われることを懸念しており、懸念していないという人は44%だった。

 しかし同じ調査で、政府が強力なテロ対策法を設置できないことと、国民の自由を過度に制限する法律を作ることへの懸念を尋ねたところ、46%対40%で強力なテロ対策法を発効させられないことを心配する人の方が多かった。強力なテロ対策法を支持し、自由が束縛されることをあまり懸念しない傾向は、民主党支持者より共和党支持者の方が強かった。

 一方、14年と15年にピュー・リサーチ・センターとGfKが行った調査では、ほとんどの米国人が「政府による電話やインターネット情報の収集に対する規制が不十分」と考えており、米国人の10人中約9人が日々の活動における個人のプライバシーの維持を重視していた。

 今回の一件が、アップルのブランド評価に影響するかどうかは分からないが、近年のいくつかの調査によると同社の好感度は非常に高く、支持率は議会やオバマ大統領をはるかに上回っている。ワシントン・ポストとABCニュースが13年に実施した調査では、米国人の10人中7人以上がアップルに好感を持っていた。

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