沖縄科学技術大学院大学の研究班は、海流(潮流)を利用して発電するための海中タービンの新設計を提唱した。同班が発表した研究論文は、専門誌「リニューワブル・エネルギー」に掲載された。
同研究に携わっているのは、同大学の量子波光学顕微鏡ユニットの新竹積教授が率いる研究班。
クリーンテクニカ誌によると、同教授らは、日本近海を流れる黒潮を利用した海流発電を目指しており、特に台風や嵐といった悪天候による被害を受けやすい日本や台湾、フィリピン諸島での使用を想定して、海流が比較的緩やかで安定した水深約100メートルで運転する設計を提唱した。
その発電機は、凧と風力タービンを組み合わせたハイブリット型で、海底から伸びる鎖で係留した発電機を海流中に凧のように浮かせて、3枚の羽根を海流によって回転させるという設計。
想定している海流は、平均速度が毎秒およそ1〜1.5メートルと緩やかだが、水の密度は空気の800倍以上にもなるため、そのエネルギー量は強風に匹敵する、と同大学の発表資料は説明している。また、海流は絶え間なく流れ、流れの方向も一定という大きな利点がある。
研究班は、設計や形状を検証するため数回の実験をすでに行った。その結果、タービン構造は、優れた強度と安定性を備えていることが証明された。さらに、商業用の風力発電機に遜色のないエネルギー変換効率も達成したという。
発電機は、浮きと錘(おもり)、発電機を収納するナセル、プロペラで構成されている。構成部品の数を最小限に抑えることで、保守管理しやすく、低コストと低故障率を図っている。
発電機の設計は、設置場所の条件やニーズに合わせて調整できる。将来的には、タービン300機で構成される直径80メートルのエネルギー・ファームを構築したい、と研究班は説明している。
予想される電力量は、原子力発電所1基分に相当する約1ギガワットで、40万世帯以上の家庭に給電できる見込みだ。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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