バンク・オブ・アメリカのIT基幹設備刷新 〜 標準化に向けて課題克服へ

 過去数十年にわたり数々の企業吸収と合併を繰り返してきた米銀行最大手のバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は、IT基幹設備の大規模刷新に長期で取り組んでおり、現在、最終段階にようやくこぎ着けている。

 これまでの電算システムが複雑にからみあったIT基幹設備を最先端システムにどのように移行させて業務処理を効率化させるかが、同社の前に立ちはだかっていた。

 ネットワーク・ワールド誌によると、同社のデイヴィッド・ライリー最高情報責任者(CTO)はその課題に取り組むために、非常に断片化した従来の社内電算システムを標準化することと仮想化技術の導入を進めた。

 2016年における同社のIT投資額は5年前から約2倍の30億ドルに達する。

 ライリー氏は、迅速かつ柔軟に対応できるようにするには、従来のIT基幹設備をほぼ破棄するほどの徹底した刷新が必要だと考え、ウェブ機能とモバイル・バンキングへの対応力の強化にも注力してきた。

 同社には現在、約10万人の技術者と銀行業務担当者が働いている。同社のモバイル・バンキング利用者は1900万人で、その数は日々5500人ずつ増えており、扱うデータの量は169ペタバイトに達する。

 それほどの巨大システムをいきなり破棄することは不可能であるため、ライリー氏は特別部隊を編成し、IT基幹設備の刷新に着手した。

 同氏がそれに向けて着目したのは、フェイスブックが2011年に設立したオープン・コンピュート・プロジェクト(OCP)だ。OCPは、IT基幹設備の構成品をオープン・ソースによって標準化することで、新システムを比較的簡単かつ低コストで構築できるようにすることを推進している。

 ライリー氏は、OCPの公開技術と、特定の技術ベンダーの専有技術の両方をもとにしたIT基幹設備を構築しているが、ソフトウェアによって制御可能のソフトウェア定義型(softwear-defined)システムという共通の機能を取り入れている。

 現在、同氏のIT基幹設備刷新計画では、アプリケーションの約95%が新システムに移行した。新システムは、同社独自のアプリケーション開発にかかる時間を大幅に短縮する効果をすでに出している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る