第36回 ドレスコード

文&写真/福田恵子(Text and photo by Keiko Fukuda)

学校に着ていくのはこんな感じの服装。ノアと友達

学校に着ていくのはこんな感じの服装。ノアと友達
Photo © Keiko Fukuda

 子どもたちの夏休みが始まって、送迎ドライバーの私は朝ちょっとだけ寝坊できるようになった。この1年間は、ノアが0時限を取っていたので朝7時が授業開始時間。毎朝、私をイライラさせたのが、ノアが服を着て部屋から出てくるまでに時間がかかること。制服があればかなりはやいはず。私立校やロサンゼルス統一学校区などには一部、制服の学校もあるようだが、ノアもニナもこれまでずっと私服だった。

 私服だからと言ってどこまでも自由というわけではもちろんなく、学校側は生徒たちの服装が乱れないように、再三、メールで保護者に注意事項を送ってくる。何度もメールを受け取った覚えがあるのは、男子生徒がズボンの腰を落として下着を見せるファッションに対する注意。私などから見るとあれのどこが良くてやっているのか理解不能だが、一時期、下着を見せたがる子が多かったようだ。他にも、大胆な露出で非常に派手な身なりの子から、もしかしてパジャマ兼用? と思われるような、ほとんど頓着しない子まで、さまざまな服装の中学生や高校生がキャンパスには行き交っている。

 ニナの中学のドレスコードには、「シースルー禁止」「サンダル禁止」といった常識レベルの項目から「ジーンズの穴は、そこに手を当てた時に一番長い指よりも大きければアウト」「顔面のピアスや、安全を脅かすような箇所のピアスは禁止」など細かく定めたものまである。生真面目なニナは、耳のピアスの穴さえ開けていない。小学校最後の学年の時、クラスでピアスをしていない女子はニナだけと本人が話していた。「なぜ、開けないの?」と友達に聞かれた彼女、「だって、怖いから。それに危ない。必要だと思わない」と答えたそうだ。

違反すると補習

 アメリカらしいと思えるドレスコードに「攻撃的なスローガンが書かれた衣服は禁止」というものがある。逆に日本では「それ、英語として成立しないのでは?」という不思議な英語のコピーのTシャツを見かけることもあるが、英語のコピーをイメージとしてとらえる日本と違って、アメリカではそれをメッセージだと受け止めるのだ。そう言えばつい最近も、女性用のTシャツの胸に「トロフィー」と書かれたターゲットの製品が大問題になった。「女性をトロフィーという褒美や賞品のように物品としてとらえるとは何事か」と不買運動を通り越して、販売停止の署名が続々と寄せられた。日本で購入したシャツの英語の文言を気にせず子どもに与えると、もしかして問題になる可能性があるかも。

 一方、アメリカの学校は髪の色には寛大だというのが個人的な印象。ニナの中学でも緑色や赤などロックな色に染めた子どもを散見する。中学のドレスコードを読んでも、髪の色に対する禁止事項はないようだ。では一体、ドレスコードに違反するとどうなるのか? 注意だけでは終わらずに、土曜日4時間分の補習という罰則が課される。昔の青春映画「ブレックファストクラブ」を思い出した。

 ドレスコードが厳しい分、学校で定められたパジャマデー、バックワードデー、オポジットデー、クレイジーヘアデーなど、おかしな服装をする日には教師も率先して徹底的にはじける。大学のロゴ入りTシャツを着ていく日もある。

 そして、卒業式ともなると、さらに厳しいドレスコードがある。ノアの高校の場合、男子は白いドレスシャツにネクタイ、黒のズボン、スニーカー以外のフォーマルな靴という取り決め。しかし、出席した親たちはタンクトップにショートパンツもあり、という極端にくだけた服装なのがご愛嬌だった。

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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