風水コンサルタント
清水 瑛紀子

文/福田恵子 (Text by Keiko Fukuda)

 高度な資格や専門知識、特殊技能が求められるスペシャリスト。手に職をつけて、アメリカ社会を生き抜くサバイバー。それがたくましき「専門職」の人生だ。「天職」をつかみ、アメリカで活躍する人たちに、その仕事を選んだ理由や、専門職の魅力、やりがいについて聞いた。

「風水は人生を快適に過ごすツール 鑑定と講義で専門知識を提供」

 風水鑑定を始めて15年、教え始めて10年になります。風水に関しては誤解が多く、物を買わなければいけないとか、一度家を建ててしまったら何も対策はないとか、間違って理解している人が少なくないようです。これらは日本独自の家相の考えで、中国伝統風水ではありません。私は風水鑑定もしくは講義という形で知識を提供し、その代償としてお金をいただいています。

 風水は人生を快適に過ごすためのツールです。風水によって億万長者にはなれませんが、自分の可能性を最大限に生かすということが目的です。風水は時間と空間の学問であり、統計学、易経をベースとしているので、家のエネルギーは計算によって分析できます。

 私が風水を始めたきっかけは、15年前にロサンゼルスの日本語雑誌で風水に関する特集記事を目にしたことでした。それまでコンピュータのシステムエンジニアとして、日本、ドイツ、アメリカで働いていましたが、「新しい何か」をいつも探していました。そんな時にたまたま手にした雑誌で見た風水に興味を覚え、記事の最後に告知されていたロサンゼルス近郊のモントレーパークでのセミナーに、気軽な気持ちで参加してみました。私はいつもやってみようと思ったことはすぐに実行に移すタイプです。

 参加したセミナーはアメリカ風水研究所主催で、2日間の日程でした。すぐに魅力を感じました。わからないことに対して理由があり、きちんと数字で計算されて説明できるところに惹かれたのです。その後、研究所で開催された全40クラスを受講して勉強を重ねました。風水は非常に奥が深く、たまねぎの皮を剥くように、学んでも学んでもさらに知識を習得していく必要があります。

最初の100件は無料実践と勉強が不可欠

 アメリカ風水研究所は、ラリー・サング老師が始めた研究所です。中国では文化大革命の時に多くの知識人が国外に脱出し、同時に風水も流出して欧米で研究されることになりました。私は彼に師事しながら、同時に鑑定も開始しました。

 当初は知り合いに無料で鑑定すると声をかけ、口コミで個人宅や企業のオフィスを見に行きました。プロの風水コンサルタントになるには、知識を身につけると同時に、実践が重要です。最初の頃は知識不足で、質問されても答えられなかったこともありました。しかし、鑑定の実践と勉強を続け、今ではほぼどのような質問にも答えられる自信がつきました。

 私は多くの受講生を抱えていますが、生徒にも「最初の100件は無料で鑑定するように。100通りのレメディ(風水を用いた対策)に取り組んで、統計を取ること。自信をつけてから有料にしてください」と伝えています。

日本で受講生たちを相手に講義中の清水さん

日本で受講生たちを相手に講義中の清水さん

 この仕事のやりがいは、鑑定後に依頼者が希望していた結婚ができたり、子宝に恵まれたり、事業が好転することで幸せになっていく姿を目にしたりできることです。現在は本業のシステムエンジニアの仕事を続けながら、日本に足を運んで受講生の指導をしたり、全世界のお宅やオフィスを出張ベースで鑑定したりしています。忙しいけれど充実しています。受講生たちは風水を習得したいという一つの目標を持って集まっているので、とてもポジティブです。彼らには新しい知識を使って、幸せになってほしいと思いながら、私自身も楽しく教えています。

 風水に出会ったおかげで、これからの自分の将来が楽しみです。風水コンサルタントの仕事は年齢に制限がなくいつまでも続けられますし、さらに年齢がいくほど自分自身の経験が蓄積されることで、より良い鑑定ができるようになるからです。
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My Resume
●氏名:シミズ・アキコ(Akiko Bibi Shimizu)
●現職:システムエンジニア兼風水コンサルタント
●前職:システムエンジニア
●ビジネス拠点:拠点は南カリフォルニア、講義や鑑定で日米を中心とした各国を回る
●その他:著書に今年3月出版された「オウチで開運!風水168(いろは)」(ザメディアジョン)をはじめ「開運術としての風水」(ソトコト新書)、日本語の訳書に「風水必読」(アメリカ風水研究所)など
●ウェブサイト:windandwater168.com

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福田恵子 (Keiko Fukuda)

福田恵子 (Keiko Fukuda)

ライタープロフィール

東京の情報出版社勤務を経て1992年渡米。同年より在米日本語雑誌の編集職を2003年まで務める。独立してフリーライターとなってからは、人物インタビュー、アメリカ事情を中心に日米の雑誌に寄稿。執筆業の他にもコーディネーション、翻訳、ローカライゼーション、市場調査、在米日系企業の広報のアウトソーシングなどを手掛けながら母親業にも奮闘中。モットーは入社式で女性取締役のスピーチにあった「ビジネスにマイペースは許されない」。慌ただしく東奔西走する日々を続け、気づけば業界経験30年。

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