入室の条件はエコ関連 作りもエコなビル
「エジソンは偉い人 そんなの常識〜」とちびまる子ちゃんがリズムにのって歌っていたけれど、ポートランドでエコロジーを意識することはごく普通。例えば、街を歩いていると自転車で走っている人が多いなとすぐ感じるが、何といっても人口当たりの自転車数が全米一。自転車で通勤する人の割合も全米が0.5%なのに対し、6%だ。ゴミのリサイクル率も全米一。市は、生ゴミや庭ゴミを堆肥に使うプログラムを施行している。そしてLEED認証と呼ばれる省エネや環境性能の高さを評価するシステムで認定された建物数が人口あたり最も多い都市の一つだ。
それを象徴するような建物がポートランドにある。「ナチュラル・キャピタル・センター」通称エコトラストビルがそれ。環境保全のNPOエコトラストが、1895年に建てられた赤レンガ倉庫を買い取り、98%は元々使われていた材料をリサイクルして建てたビルだ。オレゴンで初めて、歴史的建物の修復では全米でも初めてのLEEDゴールド認証を得た建物だ。見た目は古いビルだが、中はとてもお洒落なデザインのオフィスが並んでいる。テナントとして入れるのは、エコロジー関連の会社のみ。屋上は緑化されていて、駐車場の周囲の雨水をろ過システムを用いて再利用、中にあるピザ店の「ホットリップス・ピザ」のピザ窯の熱で建物を暖めるといったエコロジカルな仕掛けがされている。リノベーションの方法や建物の利用法までエコロジー哲学が一貫したビルなのだ。
Natural Capital Center
721 NW 9th Avenue, Portland, OR
電話:503-227-6225
ウェブ:www.ecotrust.org/project/natural-capital-center/
環境への貢献もちょっとユーモアを持って
こうした環境や自然の保全のためのいろいろな工夫も、ちょっとユーモアがあるのがポートランド流。お洒落な雑貨店やカフェなどが並ぶミシシッピアベニューの園芸店を訪ねた時のこと。変わったガチャガチャが目に止まった。中身は「シード・ボム(種の爆弾)」というもので、芝の種が入った土のボールで、それをそこら辺にぽいっと投げれば草が生えて来るという仕組み。たった50セントで誰でも緑化に一役買える微笑ましいアイデアなのだ。
別のある時、ダウンタウンの公園でなんとジューサーを取り付けた自転車のペダル一生懸命に漕いで回す若者に遭遇。道行く人も思わず注目のこの自転車は、ジュースを売って若い人の雇用促進をするための寄付を集めているらしい。エコでユニークなアイデアが、自転車フレンドリーなポートランドならでは。
また、トレンディなエリアにあって、鮮度な寿司ネタで人気のレストラン「バンブー・スシ」は全米初のサステイナブルな寿司レストラン。ここのメニューには一工夫あって、ネタになるシーフード生産量などを見ながら、十分な数がいる魚におススメマークを付けている。食べに来るお客も海洋資源の保全のために一役買える。また、肉は飼料にホルモンを使っていない近郊で放牧のもの。店内で出た紙のゴミは100%再利用、生ゴミも40〜80%は堆肥に利用できるようにしている。
政策的なエコロジーだけではなく、ポートランドでは、さりげなくそして楽しくみんながエコロジーに関われる機会も多いのだ。
Bamboo Sushi
836 NW 23rd Ave., Portland, OR
電話:971-229-1925
ウェブ:bamboosushi.com
資料提供:Travel Portland(www.travelportland.com/lang/japanese/)
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