ビザブルテン発表内容の新方針

文/デビッド・シンデル(Text by David Sindell)

 ビザブルテンとは、アメリカ国務省が毎月発行するもので、これにより雇用及び家族ベースなどのアメリカ永住権申請について、永住権申請者が申請の最終段階に進むことができるかが確認できます。各申請カテゴリーにおいて、申請者のプライオリティーデート(PD)とビザブルテンに記載されている日付(カットオフデート)を比較することで、永住権申請者が、いつ、最終段階の申請に進むことができるかを判断できます。

 2015年9月9日、移民局及び国務省は共同で、雇用または家族ベースのアメリカ移民ビザ申請の最終段階を待っている申請者(自国での面接を通しての申請者=カウンシュラープロセス:CP、またはアメリカ国内での永住権保持者へのステータス変更申請者=AOS申請者)に対し、有効な移民ビザ数の決定に関するプロセスの変更及びビザブルテンの記載要項の変更を行うことを発表しました。

 これは新会計年度の開始月である2015年10月分から開始となっており、下記2項目が申請カテゴリー及び国別に記載されることになります。
 
• Application Final Action Dates
(これまでと同じカットオフデートを意味し、自分のPDがこのチャートに記載の日付より前になれば、AOS申請希望者は最終段階のAOS申請に進める)
 
• Dates for Filing Applications
(自分のPDがこのチャートに記載の日付より前になれば、自国での面接を通しての申請を行う場合、ナショナルビザセンターへ必要書類を提出可能。ただ審査はFinal Action Datesに基づく)
 
 なお、申請別で説明すると以下の通りになります。
 
自国での面接申請者(CP):
 自分のPD(雇用ベースであれば一般にPERM/The Program Electric Review Managementの提出日、家族ベースであればI-130申請の移民局による受領日)がファイリングデートチャートに記載の日付より前になれば必要書類をナショナルビザセンターに提出可能。しかし審査そのものは自身のPDがFinal Action Dateより前にならない限り開始されません。
 
アメリカ国内での永住権保持者へのステータス変更申請者(AOS申請者):
 これまで通り、AOS申請希望者は移民局への申請が可能となるのは、自身のPDがこのFinal Action Dateよりも前になった時です。ただ月によっては移民ビザ有効数が多いと判断されれば、Filing Dateの日付が申請可能日となるべく明記されますので、毎月注意してビザブルテンの内容を確認すべきです。また移民局のサイト(http://www.uscis.gov/visabulletininfo)でも確認できます。

 なお、2015年10月は家族ベース、雇用ベース共にファイリングデートチャートに記載の日付に基づき、AOS申請が可能となっています。その際、就労許可証や出入国許可証も同時に申請し、取得できることでしょう。

 アメリカ移民局は国務省発行のビザブルテン情報のもとになる有効移民ビザ数(発行移民ビザ数は申請カテゴリーにより年間発行数が決まっています)をモニタリングし、必要な情報をビザブルテンに掲載する予定にしていますので、申請者はその情報をもとにいつ自身のAOS申請が可能となるか確認することができます。

 更に追加の有効移民ビザ数を決定するために、アメリカ移民局は年度末までの残り期間に発行される移民ビザ残数と次の事項を比較します。
 
• 書類上の資格要件を満たすビザ申請者数(アメリカ国務省より提供)
 
• 審査中のAOS申請者数(アメリカ移民局より提供)
 
• 過去の数字から想定される無効申請数(例:却下、取り消し、無効申請など)
  

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デビッド・シンデル (David Sindell)

デビッド・シンデル (David Sindell)

ライタープロフィール

NY州およびNJ州弁護士資格。外国法事務弁護士(外弁)として東京第2弁護士会所属。アメリカ移民法弁護士協会所属。日本語、フランス語に堪能。

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