
Photo by Kerry Hayes © Open Road Films
2002年、ボストン・グローブ紙が、神父の性的虐待をカトリック教会が組織だって隠蔽していたことをスッパ抜く。それによると、70人以上の神父が少年少女に性的虐待を行っていたという。
メディアの大変革の兆しが見え始めた2001年にボストン・グローブ紙に引き抜かれたユダヤ系の編集者の指示で、同紙の報道特集欄「スポットライト」のチームが独自に調査して書き上げたその記事は、市民と読者の大多数がカトリック教徒である同エリアに衝撃を与えた。
マスコミは生き残りをかけて広告主の顔色を以前にも増してうかがうようになった昨今、本作で描かれるような記者魂を見せることができなくなってしまった。劇中でも、広告や購読の収入と正義について話すシーンがあり、共感を覚えた。
これまでハリウッドでは、神父の性的虐待を題材にした映画を幾度となく描き、また、我々もそうしたニュースを耳にする。なぜカトリックの神父は性的虐待をしがちなのだろう。信者数が多いから件数も多く、明るみに出るのだろうか? 上級職に就くには基本的に妻帯者であってはならないゆえに性的な欲求不満になり、そうした行動に出てしまうのだろうか? 罪を犯してもざんげをすれば許されるという考えがあるからだろうか? 罪を隠蔽することに罪悪感を抱かないのだろうか? 今では珍しくなってしまった記者魂によるペンの強さを描いた本作で、宗教の恐ろしさを実感した。
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