「Spotlight」同様、ジャーナリズムを題材にした本作は、CBSの長寿報道番組「60 Minutes」で、前大統領ジョージ・W・ブッシュの兵役関連のスクープに関わったプロデューサーが主人公。
やり手の報道プロデューサー、マリーは、ブッシュ大統領の兵役履歴詐称に関するネタを手に入れる。自ら選んだ精鋭スタッフと情報を収集し、旧友で同番組の看板キャスター、ダンと共にスクープを報道する。しかし、根拠としていた手紙に偽造疑惑が持ち上がり……。
「Spotlight」の数年後となる2004年の出来事を描いた本作は、報道よりも広告主や親会社の政治的な関係を重視する舞台裏をあからさまに指摘するシーンがある。トーク番組の視聴率が報道番組を遙かに上回る現実を突きつけられ、人々が報道に興味を持たなくなったとマリーやダンは嘆く。あれから10年余り。多くの紙媒体は休刊(廃刊)や縮小となり、テレビのニュース番組はエンタメ化が加速している。映画ジャーナリストの筆者も、監督やプロデューサーの深く掘り下げたロング・インタビューの執筆依頼はなくなり、ゴシップ記事の依頼が激増するという現実に直面している。
今、時を同じくして、ジャーナリズムの存在意義を示す映画が次々と公開されるのは偶然だろうか。
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