ジャーナリズムの消滅?!「Truth」

文/はせがわいずみ(Text by Izumi Hasegawa)

© Sony Classics

© Sony Classics

 
 「Spotlight」同様、ジャーナリズムを題材にした本作は、CBSの長寿報道番組「60 Minutes」で、前大統領ジョージ・W・ブッシュの兵役関連のスクープに関わったプロデューサーが主人公。

 やり手の報道プロデューサー、マリーは、ブッシュ大統領の兵役履歴詐称に関するネタを手に入れる。自ら選んだ精鋭スタッフと情報を収集し、旧友で同番組の看板キャスター、ダンと共にスクープを報道する。しかし、根拠としていた手紙に偽造疑惑が持ち上がり……。

 「Spotlight」の数年後となる2004年の出来事を描いた本作は、報道よりも広告主や親会社の政治的な関係を重視する舞台裏をあからさまに指摘するシーンがある。トーク番組の視聴率が報道番組を遙かに上回る現実を突きつけられ、人々が報道に興味を持たなくなったとマリーやダンは嘆く。あれから10年余り。多くの紙媒体は休刊(廃刊)や縮小となり、テレビのニュース番組はエンタメ化が加速している。映画ジャーナリストの筆者も、監督やプロデューサーの深く掘り下げたロング・インタビューの執筆依頼はなくなり、ゴシップ記事の依頼が激増するという現実に直面している。

 今、時を同じくして、ジャーナリズムの存在意義を示す映画が次々と公開されるのは偶然だろうか。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

はせがわいずみ (Izumi Hasegawa)

ライタープロフィール

島根県松江市出身。映画ジャーナリスト・神主。NHKなどのアナウンサーを経て、映画・TV記者に。取材したセレブはのべ5000人以上。スターのインタビューや写真を全世界の媒体に配信する通信社Hollywood News Wire Inc. を経営 (一部をWhatsUpHollywood.comに掲載。動画インタビューはUTBでも放送中!!)。ハリウッドと日本の架け橋としてHollywood-PRを立ち上げ、PR・マーケティング、コンサルタントとしても活動中。
実家が神社(出世稲荷神社)なので神主の資格を持つ。島根県ふるさと親善大使「遣島使」。著書:TV『24』公式解説本『メイキング・オブ 24-TWENTY FOUR-』(竹書房)

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  2. 九州より広いウッド・バッファロー国立公園には、森と湿地がどこまでも続いている ©Parc nati...
  3. 2022年12月9日

    住みたい国
    熊本県八代市の「くまモンポート八代」で 8月の終わりから9月中頃にかけて、私とニナは日本に飛...
  4. 2022年12月7日

    日常の些事
    冬の落ち葉 年齢を重ねると、だんだんと感動が薄くなるとはよくいわれる。ほとんどのことは過去に...
  5. 2022年12月6日

    美酒と器
    酒器の種類 酒器にはさまざまな素材、形のものが存在する。適切な器を選ばないとお酒本来...
  6. 契約上のトラブル 広範囲にわたる法律問題を扱う弊社にはさまざまなお問い合わせがありま...
  7. この号が出る頃、私とニナは日本での3週間の滞在を終えてアメリカに戻っているはずだ。ニナにと...
  8. 2022年10月7日

    森英恵の反骨精神
    裏庭の蝶 ファッションが好きな女性はたくさんいるだろう。私もその一人だ。休日の気晴らしは以前...
ページ上部へ戻る