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インド人CEOが増える理由
技術系、謙虚さとプロ意識共存
- 2015年10月20日
「アロラ」「メフロトラ」「ジャー」「ナラヤン」「スリ」「ナデラ」「ピチャイ」という言葉が何を意味するのかを分かる人は、米技術業界の事情に詳しい部類に入るだろう。
これらは、米技術大手の最高経営責任者(CEO)の苗字で、全員がインド人だ。
8月11日付のウォールストリート・ジャーナルの記事(“Why America’s Top Technology Jobs Are Going to Indian Executives”)が興味深いリポートをしている。
米技術業界では近年、インド人CEOが増えている。グーグル(Google)は、今夏に発表した劇的再編策の一環として、インド人のサンダー・ピチャイ氏をCEOに抜擢し、世間と報道界を驚かせた。
一方、スティーブ・バルマー氏のあとを継いでマイクロソフトのCEOに就任したサティア・ナデラ氏もインド人だ。技術者としてノキアに入社してから同社のCEOに昇りつめたラジーブ・スリ氏もインド人だ。さらに、アドビのシャンタヌ・ナラヤン氏も2007年に44歳のときにCEOに就任し、インド人CEOの先駆者の一人として挙げられる。
彼らは、米国で生まれ育ったインド系米国人ではなく、インドで生まれ育ったインド出身者だ。
この数年間に米技術大手の新CEOに就任した人の多くがインド人という事実は、偶然なのか、それとも必然なのか。
ちなみに、報酬165億円が日本で話題になったソフトバンク新副社長のニケシュ・アローラ氏もインド人だ。同氏は、孫正義社長の後継者として目される人物だ。日本の技術関連業界大手でもインド人CEOが誕生する日が近いと言えそうだ。
ウォールストリート・ジャーナルによると、南ニューハンプシャー大学が最近行った調査によると、インド人主導者の方が米国人主導者よりもリーダーシップの点で、より大きな効果をもたらしていることが明らかになった。
同大学の調査報告はさらに、「インド人主導者は、将来を見据えて行動する傾向が強く、謙虚さとプロ意識という、一見すると相反する性質を見事に共存させている」と指摘する。そして、それらのCEOたちは、世間を騒がせることなく組織を強くする術を備えているという。
たとえば、ナデラ氏の場合、CEOに就任して以来、競合他社や競合製品を敵視せず、むしろ提携によって事業再生を見事に成功させた。米国人CEOは敵対を辞さない傾向が強い。
インド人CEOのなかには、たとえばサンディスクのサンジャイ・メフロトラ氏のように、自分で設立した新興企業を引っ張っている人物もいるが、大抵の場合、入社した会社で地位を上げていきCEOに抜擢されている。
ピチャイ氏は、グーグル製品管理担当副社長として2004年に入社し、グーグル・ツールバーやデスクトップ検索、簡易アプリケーション、グーグル・パックといった一般利用者向け製品の開発と運営を指揮した。
同氏はその後、グーグル・クロームおよびグーグル・アップスを扱う部門の上席副社長に昇格して、今回の組織再編でCEOに任命された。
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