
Photo by Karen Ballard © 2015 STX Productions, LLC.
先号で「Our Brand is Crisis」は、男性の役をサンドラ・ブロックが女性役に書き換えさせて演じたとお伝えしたが、そうしたキャラの“性転換”はハリウッドの流行りのようだ。「Ghost Busters」や「Oceans 11」の女性版もしかりだが、「Secret in Their Eyes」もジュリア・ロバーツが男性キャラを女性に書き換えさせて演じた。
アルゼンチンのベストセラー小説の映画化として同国で大ヒットし、アカデミー賞外国語映画賞も受賞した作品のハリウッド版となる本作は、キャラの“性転換”以外にもアメリカナイズするために設定が変わっている。通常、リメイクはがっかりさせられることが多いが、本作は設定替えにより、リアリティーとドラマ性が高まったように思われる。オリジナル版は妻を殺害された夫の復讐だったが、本作では母娘2人暮らしのFBI捜査官(ロバーツ)の、娘を殺された恨みを描く。伏線があちこちに張られ、大団円に向かってパズルのピースがつなぎ合わされていく展開は見事としか言いようがない。
同い年のライバル女優ニコール・キッドマンが美人の才女役で出演する中、本作でロバーツは、誰か分からないほどのダサいルックスで登場する。ノーメイク以上のメイク(?)とやつれた外見に仰天するが、娘の亡骸を抱いて号泣するシーンの演技に心を打たれる。実生活でも母親で、本作の撮影中に実母を亡くした彼女の人生経験が女優としての才能を開花させたようだ。映画賞シーズンの公開で勝負に出る。
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