子供の人工膵臓を手作り
糖尿病管理で親、市販品待てず

diabetes-528678_640

 糖尿病患者の生活を少しでも楽にするために、自家製ツールを作る人が増えている。
 ウォールストリート・ジャーナルによると、カリフォルニア州サンディエゴに住む小学3年生のアンドリュー・カラブリース君は体がインスリンを作れない1型糖尿病で、常に教科書とともに人工膵臓(すいぞう)が入ったバックパックを背負っている。この人工膵臓は市販されておらず、ソフトウェア・エンジニアである父親ジェイソンさん(41)の手作り。自作するための公開情報を集めたウェブサイト「オープンAPS(https://openaps.org)」を頼りにした。人工膵臓は皮下センサーで5分おきにアンドリュー君の血糖値を計測し、必要な量のインスリンをポンプから補給する。すべて親の責任で作ったが、学校に持っていくことに関しては医師の承諾を得ている。
 自分や家族のために材料を購入したりコードを書いたりして人工膵臓を作っている人は50人を超える。業界でクローズド・ループ・システムとも呼ばれる人工膵臓は、何十年も前から研究が続いているが、センサー技術の向上で最近ようやく血糖値の常時計測が可能になった。いくつかの企業はすでにこうした装置の開発に取り組んでいる。しかし商品の開発や食品医薬品局(FDA)の認可には何年もかかるため、技術と知識を持った一部の人々は市販を待てずに自分で作っている。
 FDAには医師や患者が手製の装置を使うことに関しては何の権限もなく、それを販売または配布しない限り自家製インスリン・ポンプの使用を止める力はない。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る