日本の年金について「年金の種類」

文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)

米国に居住されている方でも以前日本で年金に加入していれば、たとえ加入期間が短くても米国年金とは別に老齢年金を受給することができます。また現在米国に居住しSocial Securityに加入している現役世代の方でも日本の年金に加入することができます。では自分はいったいどの年金に加入していたのか、また今後新規に加入する場合どの年金に加入できるのか?今回は年金の種類について紹介します。

時々耳にする「年金」とつく言葉には様々なものがあります。例えば、国民年金、厚生年金、個人年金、積立年金。
これらには国が運営する公的年金もあれば民間の保険会社が提供する保険商品など様々です。ここでは多くの方が関わっている公的年金制度について説明致します。

まず目的別に見てみると、大きく3つに分けられます。

✔老齢(退職)年金:老後
✔障害年金:疾病・負傷による障害
✔遺族年金:加入者・受給者本人の死亡

次に年金実務の運営を行う保険者別に見てみましょう。

✔日本年金機構(旧社会保険庁)
厚生年金:企業のサラリーマンが加入
国民年金:上記の配偶者や自営業者が加入

✔共済組合(国家公務員の省庁別、地方公務員の各都道府県別、公私立学校別)
共済年金:公務員や学校の先生が加入

✔厚生年金基金(企業や企業グループ毎)
企業年金:企業のサラリーマンが加入、主に大手企業で厚生年金に上乗せて実施される

受給申請手続きはそれぞれの保険者毎に行う必要があるため、公務員と民間企業の両方で就労された方、企業年金に加入された方(自動的に厚生年金加入)は両方の手続きが必要です。尚2015年10月から日本年金機構と各共済組合の手続きが一本化され、どちらか一方の窓口で手続きができるようになりました。ただ海外在住者の年金申請手続きは、国内在住者に比べやや特殊なので、しばらくはスムーズにいかない場合があるかもしれません。

次は年金加入者の種類別に見てみます。

✔第2号被保険者:サラリーマンや公務員、学校の先生
厚生年金、共済年金の他、国民年金に自動的に加入

✔第1号被保険者:自営業者や学生
国民年金だけの加入
※国民年金だけでは将来不安という方のために、追加で国民年金基金に加入することが可能

✔第3号被保険者:サラリーマンや公務員の配偶者(主婦または主夫)
自身で年金保険料を払うことはないが、夫が加入している年金と同じ保険者において被保険者となる
※第1号被保険者と同じく国民年金加入者に相当

現役時代に支払う毎月の年金保険料は第2号被保険者の場合、事業主が半額負担しくれるので、サラリーマンや公務員は自営業者に比べると恵まれているかもしれません。この点は米国のSocial Securityと似ています。

年金加入者について国籍や居住地は関係ありません(一部例外あり)。米国籍を取得された(元)日本人の方はもちろん、元々外国籍(外国人)の方も日本に居住していたり、働いていたりしていたのであれば年金加入者となり老後受給の可能性があります。また第2号被保険者と結婚した外国籍の妻または夫も第3号被保険者となります。まだ年金の申請をしたことのない方は、自分がどの年金の種類に加入していたかを思い出しながら一度記録の調査をしてみてください。

また現在65歳以下の米国居住者(ただし市民権取得者を除く)は、申請することによって国民年金に任意加入することができます。現在Social Securityに加入していても<両方加入でき、将来日米両国から年金を受給することができます。

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、成年後見など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
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