Vol.005:アメリカの主な会社設立形態と特徴

前回は、アメリカ ビジネスライセンス/Business Licenseの取得方法と題して、参考情報を共有させて頂きました。
会社の設立、事業運営に必要になるので合わせて読んでみてください!

前回の内容で少しだけ触れましたが、アメリカでの会社設立の際に
参考になるように会社形態(種類)と特徴を僕なりにまとめてみたので共有しておきます!

アメリカの会社設立形態は、
厳密にはたくさんのパターンがありますが
大きく分けて以下の5種類に分けられます。

1. Sole Proprietorship (個人事業主)
2. C-Corporation (比較的大きめの株式会社)
3. S-Corporation (比較的小さめの株式会社)
4. Partnership – General/ Limited / Limited Liability (パートナー)
5. LLC:Limited Liability Company (有限会社)

それでは、特徴とメリット、デメリットを見ていきましょう。


1.  Sole Proprietorship (個人事業主)
 :法律上、法人格を持たない個人事業運営の会社形態。

<メリット>
・設立が簡単(DBA登録とビジネスライセンス取得)
・事業主として確定申告ができる(二重課税の対象にならない)
・運営コスト(税務上の費用)が安く済む

<デメリット>
・事業主に対し、ビジネス上の負債・賠償責任範囲が無制限
・社員を含む会社組織としての運営はできない
・就労ビザ(E, H, L, Bなど)の申請ができない

2.  C-Corporation (比較的大きめの株式会社)
 :中規模以上の、また株式上場を見込む一般的な株式会社の会社形態。

<メリット>
・事業主に対し、ビジネス上の負債・賠償責任範囲が有限
・就労ビザ(E, H, L, Bなど)の申請が可能
・資金調達やビジネス売買・譲渡もやりやすく、株式公開(上場)も可能

<デメリット>
・設立時に要求される書類が多い
・二重課税(個人+法人として)の対象となる
・運営コスト(税務上の費用)がかかる

3.  S-Corporation (比較的小さめの株式会社)
 :個人でも設立可能な株式会社の会社形態。株主人数は100人まで。

<メリット>
・事業主に対し、ビジネス上の負債・賠償責任範囲が有限
・二重課税の対象にならない
・就労ビザ(E, H, L, Bなど)の申請が可能
・資金調達やビジネス売買・譲渡もやりやすい

<デメリット>
・設立時に要求される書類が多い
・税法上の外国人は株主になることができない
・運営コスト(税務上の費用)がかかる

4.  Partnership – General/ Limited / Limited Liability (パートナー)
 :複数の個人事業主が共同事業を行う際に適した会社形態と言われる。

<メリット>
・二重課税の対象にならない
・設立が比較的簡単
・運営コスト(税務上の費用)が比較的安く済む

<デメリット>
・最低一人のパートナーが賠償責任を負わないといけない(Limited Liability Partnershipを除く)
・パートナー同士の取り決めが明確で無い場合、複雑な人間関係の問題が発生する可能性がある

5.  LLC:Limited Liability Company (有限会社)
 :有限責任であること+二重課税の対象にならないが特徴の会社形態。

<メリット>
・二重課税の対象にならない
・州によっては、外国人1人でも設立可能(カルフォルニアはOK)
・事業主に対し、ビジネス上の負債・賠償責任範囲が有限
 (比較的新しい法人形態のため判例が少なく、法律上で不確かな点もある)

<デメリット>
・大規模な事業展開には不向き
・就労ビザ(E, H, L, Bなど)の申請には不向き
・法人の存続期間は永久ではなく、設立時に存続期間を決定する必要がある


海外進出(アメリカ)やアメリカでの起業を考えている皆様、
計画している事業規模、資金、ステイタス(ビザ)、将来のビジョンなどから、
あなたにとっての最適な会社形態を選択しましょう!

それでは皆さん、GOOD LUCK!!

「ん〜。ようわからん!ヘルプ!」という方、コメント欄か直接E-Mailにてご連絡ください。

※専門的な法律関連の情報については、各種専門の弁護士などにお問い合わせください。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

板倉光孝 (Mitsu Itakura ゼロハチロック:CEO)

板倉光孝 (Mitsu Itakura ゼロハチロック:CEO)

ライタープロフィール

カリフォルニア州レドンドビーチ在住。愛知県豊田市生まれ。21歳で渡米後、レストランでアルバイトをしながら、バンド活動とサーフィンに没頭。メディア運営に興味を持ち始め、ビジネスの世界へ。
全米最大級の日系オンラインメディア運営会社にて、広告販売を中心とした営業部の立ち上げ、新規エリア開拓、マーケティング戦略・イベント企画の立案、遂行など、営業/販売サイドの統括責任者として実績を残す。11年連続売上増に貢献した後退社。2016年1月、米国法人 Zero-Hachi Rock, Inc.を設立。ロサンゼルスを中心に、起業支援、日系企業のセールス/マーケティング支援、日本企業のアメリカ進出支援を主な事業として活躍中!

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  2. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  3. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  4. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  5. 私たちは習慣や文化の違いから思わぬトラブルに巻き込まれることがあり、当事務所も多種多様なお...
  6. カナダの大西洋側、ニューファンドランド島の北端に位置するランス·オー·メドー国定史跡は、ヴァイキン...
  7. 2023年12月8日

    アドベンチャー
    山の中の野花 今、私たちは歴史上経験したことのないチャレンジに遭遇している。一つは地球温暖化...
  8. 2023年12月6日

    再度、留学のススメ
    名古屋駅でホストファミリーと涙の別れ(写真提供:名古屋市) 以前に、たとえ短期であっても海外...
ページ上部へ戻る