教育 ー いじめ(後編)
文/在米日本人フォーラム(Text by Japanese Forum USA)
- 2017年4月1日
問題を隠す日本、問題が起きたことに対する責任?
隠してはいけないアメリカ、問題を解決しないことへの責任?
3.問題への対応が非常にオープン
(ある生徒のお母さんの言): 私の子供たちはいじめを殆ど経験しませんでしたが、時には個人的な争い(暴力行為)は起こります。その場合、学校側の対応は極めてオープンで、暴力行為にはその場で警察の介入を求めますし、その問題が隠ぺいされることは絶対にありません。そして問題への対応も極めてオープンで当事者だけでなく学校関係者や父兄生徒にも情報が共有されます。このアメリカの学校の問題に対するオープンさは、日本での問題への対応がややもすれば学校も家庭も本人も隠ぺいしがちで、それ故に問題がさらに深刻化するという環境とは、正反対に位置すると思います。その違いの理由は、アメリカでは問題が起こることに対する責任よりも、問題が起こったあとの解決への対処に対する責任の方がはるかに重いからではないでしょうか。
4.高校の先生のインタビュー
インタビューを受けて頂いた高校の先生は、先にインタビューした生徒の高校において生徒から最も信頼され尊敬されている先生なのでぜひ会って話しを聞くと参考になると紹介を受けた方です。
実際に会ってみると、教育に対し筋の通った信条をお持ちの素晴らしい先生でした。
(インタビューを受けて頂いた先生の言): 自分自身も小学校の頃にいじめを受ける経験をしました。いじめられていることを父にオープンに話したところ、父はいじめの相手の家族と直接対話の場を設けてくれて、両方の家族で話し合うことで問題を解決してくれました。その経験から自分は、いじめの問題(のみならずいかなる問題)への対応策は一つしかないと考えています。
それは、The key is “communication” = “dialogue” 「対話」 だと言い切ることができます。
その先生から一枚のペーパーを頂いたのですが、彼が受け持つクラス(担任ではなく教える全部のクラス)の生徒全員に、各学年の初日に守るべき規則として必ず配布するものだそうです。
その規則はたった三つなのですが、
1.Be Respectful
2.Be Prepared
3.Be Positive
それぞれに付された説明は、なるほどと感心させられるものでした。特に、”Be Respectful”の一つだけ守られれば、いじめの問題は解消するのではないでしょうか。そのルールを訳すと次のような内容でした。
Be Respectful = (いかなる他人にも)敬意を表しなさい。
聞け、さもなくば汝の舌を沈黙させよ。(アメリカインディアンの諺)
他の人たちに、自分がしてもらいたいことをしてあげなさい。私が絶対許せないことは、「人を軽んじること」です。 私たち全員それぞれが異なった経歴そして異なった環境で育っています。あなた達は他の人たちのあるがままを敬意をもって受け容れなければいけません。 .
あなた達は互いに優しくあらねばなりません。あなた方の若い年齢の人たちは(全ての年代の人たちも同じなのですが)時には他人に対し不親切かつ冷酷な仕打ちをすることがあります。私のクラスではそれは絶対にあってはなりません。私たち「誰一人として」欠点がない人はいません。なぜなら私たちは人間だからです。私は「誰一人として」自分の考えや感情を表現することにためらって欲しくはありません。他の人たちにオープンに打ち明け共有してもらうには勇気が必要です。私は他のいかなる人へのrude or unkind words, gestures, noises, or facial expressions(適切な訳語が思いつかないのでそのまま引用)を許しません。
もしあなたがこれらに否定的な人だとしたら、あなたはまさに自らを変えねばならない人です。
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