2017 知っておくべき
アメリカ移民法最新事情

駐在(L)ビザと投資・貿易(E)ビザの
審査が厳しくなっている?

質問者:E・Lビザスポンサー企業担当者

ハードルは確実に上がっている
駐在ビザの監査には十分な準備を

回答者:RBL Partners PLLC ボアズ麗奈弁護士

EビザとLビザに関しては以前よりも審査が厳格化されているのは事実です。Eビザの場合、投資と貿易のビザに分かれていますが、投資の場合、「相当額の投資が必要である」という「相当額」の解釈の基準が厳しくなっていると言えます。実はこの「相当額」には具体的にいくらという設定がありません。これまでは10万ドル程度で「相当額」と判断されていたのが、現在は15万ドルでも十分とは判断されないことも出てきています。これは審査官の判断に委ねられているのです。

また、会社が利益を出していない場合、アメリカの経済発展に貢献していないと見なされ、面接で厳しい質問受けたり、追加書類を要請されたり、ビザ発給が却下されるケースもあります。

当事務所でも、クライアントが申請用に投資額などを記入してきた内容について、「今の状況ではこれでは十分と判断されないかもしれない」と再検討を求めるケースが増えています。ハードルは確実に上がっています。

トランプ大統領は4月にも就労ビザに関する大統領令に署名

審査厳格化の背景に
「アメリカ人雇用」のスタンス

Lに関しては、1月に、大統領令のひな型が漏れたことが大きな話題を集めました。リークした内容には「L1を雇用している会社に対してサイトビジット(企業訪問)による監査を増やす」ということが含まれていました。これまでは専門職のH1-Bの雇用企業に関しては、移民局のサイトビジットは行われていましたが、Lをはじめ、他の就労ビザに関しても今後、フロード(詐欺行為)がないかどうかを確認するために監査を増やす可能性が高いです。

監査は、事前の通知なしに抜きうちで行われます。突然、監査官が現れた時のために、社内で事前のトレーニングを実施しておくことをお勧めします。まず、監査時の担当者を決めておき、受付の人はその担当者に監査官の対応をさせるようにします。監査の目的は、ビザの申請内容が事実とマッチしているかどうかを確認することです。まず、大前提としてその会社が申請書にある住所に存在するかどうかに始まり、ビザ申請者がそこで実際に働いているか、内容に即した職務に就いているか、給与額は合っているかなどについても質問されます。

基本的には本人と上司に質問が行われますが、ここで注意しておきたいのが、受付の人が、申請者本人が出張や外出などで不在の場合に、「その人はいない」と最初に言ってしまうと、監査官は「ここで働いていない」という意味にも解釈し、ミスコミュニケーションが発生してしまうこともあるということです。さらに、監査時に疑問が解決されず、必要な追加書類の提出を求められた際に、決められた期間までにそれが提出できないとビザが取り下げられてしまうので、監査時には適切な対応を行うことが重要です。

4月中旬に発行された大統領令、Buy American and Hire Americanでは、アメリカ人の雇用に向けて就労ビザの厳格化を促し、具体的にはH1-Bビザの改革が含まれていました。この背景には「アメリカ人を雇用すべき」(Hire American)との明確なスタンスが存在します。H1-BもEもLも、アメリカ国内で外国人が就労するためのビザです。よって、今後、全体的な条件の見直しなどが実施されていくと予想されます。例えば、Jビザ(研修)に関しても、トランプ大統領は選挙キャンペーン中には、廃止すべきと主張していました。Jも発行数が減少するのではないかとの予測がなされています。

今後ますます、ビザの申請には注意が必要になってきます。そのために移民法弁護士をどのように選ぶかというポイントをアドバイスさせていただくなら、移民法の中でも家族のスポンサーによるビザ、雇用主のスポンサーによるビザなど、それぞれの分野で実績を積んでいる専門の弁護士を雇用することが重要だということです。さらに、今、実際に起こっているように、新大統領政権下、移民法のルールは頻繁に変更されるでしょう。したがって、常に最新の情報を把握しており、その情報について臨時アドバイスできる移民方弁護士が理想的だと考えます。

RBL Partners PLLC
ボアズ麗奈弁護士

(212) 960-3593
http://www.reinaboazlaw.com

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