日本の年金について「年金の支給開始年齢」

文&写真/蓑田透(Text and photo by Toru Minoda)

今回は日本の年金の支給開始年齢について紹介します。

その前にまずは皆さんの身近な米国年金を見てみましょう。満額受給開始年齢(full retirement age)は65歳から67歳の間となっていて、標準退職年齢(NRA)により誕生年ごとの開始年齢が決められています。例えば今年63歳の1954年生まれの方は66歳、今年59歳の1958年生まれの方は66歳8か月になります。その上で年金を早くもらい始めたい方、遅くもらい始めたい方のために支給の繰上げ制度(最大62歳から)、および繰下げ(最大70歳まで)制度がありますが、話がややこしくなるのでここでは繰上げ・繰下げについては一旦忘れてください。

では次に日本の年金を見てみましょう。日本の年金も仕組みは米国年金に似ています。異なる点は全国民が加入する国民年金(基礎年金部分)とサラリーマンや公務員、学校の先生が加入する厚生年金、共済年金(基礎年金の上乗せ部分)と2種類の年金がある点です。この年金の種類については過去記事【年金の種類】をご覧ください。

国民年金については支給開始年齢が65歳で固定されています。サラリーマンの主婦または主夫、自営業者など、国民年金だけ加入していた方は65歳から基礎年金を受給します。

一方、厚生年金、共済年金については米国年金のNRAと同じように受給開始年齢が60歳から65歳の間で誕生年によって分けられています。それが以下の表になります。

<図:厚生年金・共済年金支給開始年齢>

例えば1958年8月30日生まれのサラリーマンの男性は63歳から厚生年金部分を受給し、65歳時に基礎年金部分が追加されます。女性は誕生年が男性に比べ5年遅くなっています(ただし厚生年金の場合のみ適用され、共済年金では男女同じ)。

<左図:国民年金だけのケース 右図:1958年8月30日生まれのサラリーマン男性のケース>

こうした受給開始年齢を基準として、米国年金同様繰上げ(最大60歳から)・繰下げ(最大70歳まで)の申請を国民年金、厚生年金(共済年金)それぞれに適用することができます(一部例外あり)。ただし年金の繰上げ・繰下げ申請によって生涯に渡る年金受給額は増減されます。繰上げ・繰下げについては次の機会に紹介したいと思います。

 

【備考】
・2015年10月から被用者年金(サラリーマンや公務員が加入する年金)一元化により共済年金も厚生年金に統一されましたが、
ここではわかり易いよう従来通り厚生年金、共済年金と表記しています。
・2017年8月から日本の年金の受給のための資格要件が25年から10年に短縮されます。詳細を知りたい方は弊社までお問い合わせください。

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蓑田透 (Minoda Toru)

蓑田透 (Minoda Toru)

ライタープロフィール

早稲田大学理工学部卒業後、総合商社入社。その後子会社、外資系企業等IT業界で開発、営業、コンサルティング業務に従事。格差社会による低所得層の増加や高齢化社会における社会保障の必要性、および国際化による海外在住者向け生活サポートの必要性を強く予感し現職を開業。米国をはじめとする海外在住の日本人の年金記録調査、相談、各種手続きの代行サービスを多数手がける。またファイナンシャルプランナー、米国税理士、宅建士、日本帰国コンサルタントとして老後の日本帰国に向けた支援事業(在留資格、帰化申請、介護付き老人ホーム探し、ライフプラン作成、不動産管理、就労・起業、税務等の相談・代行)や、海外在住者の日本国内における各種代行、支援サービス(各種証明書の取得、介護・葬儀・相続など日本在住の老親のサポート)を行う。

●豊富な実績に基づくていねいなサポートで
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