帰国後は速やかに
税務手続きを

万全の準備を進めて無事に日本へ帰国した後、まず必要となるのが役所での住民登録だ。「出国前と同じ住所に戻るのであれば、住所地の市・区役所にパスポートを持参すれば住民票を作成してもらえます。出国前とは異なる場所に住むなら、新しい住所地の市・区役所に戸籍謄本と戸籍の附票を持参するとスムーズでしょう」と話すのは、新大阪総合税理士法人の代表税理士、菅野泰行さん。役所によっては必要書類が異なる場合もあるため、事前に問い合わせると良いそうだ。手続きの期間は、原則として帰国後14日以内。万が一14日を過ぎても罰則はないが、早めの対応が望ましいと菅野さんは言う。

住民登録が完了すると日本の居住者となるため、支払われる給与や賞与はすべて日本国内の課税対象となる。つまり、海外勤務期間の給与や賞与が帰国後に日本側で支給された場合も、日本側で課税対象となるのだ。ただ、住民税に関しては状況が異なる。「1月1日時点で日本に住民登録のある方がその年の住民税の課税対象となります。たとえば1月2日に帰国した場合は、その年の納税義務は発生しません」。

厚生年金や社会保険は、海外勤務中も日本で継続していた場合は住所変更程度の手続きだけで済むが、介護保険は再加入が必要だ。具体的には勤務先を通して「介護保険適用外等非該当届」を提出する。また出国時に「納税管理人の届出書」を出した方は、帰国後速やかに「納税管理人の解任届出書」を提出しよう。

最後に、帰国後の年末調整および確定申告に関して菅野さんに聞いた。

「帰国後の勤務に対する給与は年末調整の対象となります。社会保険料、生命保険料、医療費などの各種控除は帰国後に支払ったもののみが対象。ただし、配偶者、扶養、障害者、寡婦(夫)控除などの人的なものは、12月31日の現況で判断されます。また、給与以外に不動産収入などがある方で、その合計所得が20万円以上となる場合は確定申告が必要です。帰国前に受け取った国外源泉所得(アメリカの不動産賃貸収入など)は申告不要ですが、帰国後に発生した同所得は申告が必要となるので注意しましょう」

※本記事は、役員ではない一般社員を例とした内容です。

取材協力:新大阪総合税理士法人
http://www.shinosaka-sougou.com
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