【ニューヨーク不動産最前線】
コンドミニアムの申し込み手順

マンハッタンはいつも混雑しています。平日の混雑時はタクシーで移動するより歩いた方が早いです。地下鉄はしょっちゅう遅れて(そもそも時刻表がないので、遅れているのかどうか分かりませんが)ホームには人が溢れているし、バスに至ってはワンブロックごとに信号かバス停で停まるために、10メートル進むのに1分くらいかかります。市はシティバイクを導入したりして、なんとか改善しようとしてきましたが、私が感じる限り交通量は減るどころか人も車も年々増えています。

先月、州知事が車の量を減らすために、マンハッタン島(実はマンハッタンは島なのです)に入ってくる車に片道11ドル52セント、トラックには25ドルもの通行料を課すことを提案しました。通勤等で車を利用している人にとっては大変な出費ですね。2月は寒さのせいか、実は道が比較的空いています。部屋を探す人も少なく物件が動かないので、この時期に部屋探しをする人は(寒さを我慢すれば)じっくりと物件を選ぶことができます。

今回は、ニューヨークで部屋を借りる時にはどのくらいお金がかかって、どのような方法で借りるのかについての話です。

申し込みに必要なもの

コンドミニアムの場合は、気に入った物件が見つかったらまず大家に賃貸申し込みを出します。基本的には申込書があって、自身の情報(氏名、住所、年収、勤務先)とともに希望条件(契約期間や家賃交渉)を記入します。最近ではフォームに記入する代わりに、Eメールで大家側担当者に申し込みの意思表示をする場合も増えています。

この時にきちんとした大家なら、申込人のクレジットヒストリーを調査する場合が多いです。逆にクレジットヒストリーを要求されない場合は、この大家さんは大丈夫かな、と疑ってみてください。ちなみにこのクレジットヒストリーの結果が悪いと、敷金の積み増しを要求されたり1年分の家賃前払いを要求されたりします。

ひと手間かかる入居審査

大家との条件交渉がまとまって賃貸契約書にサインをしたら、次はコンドミニアムの管理会社を通してボード(コンドミニアム運営役員)への入居審査が始まります。これが部屋探しで一番面倒なパートです。必須の書類は、収入証明、雇用証明書、銀行残高証明書ですが、それに加えて、紹介状(Personal & Business Reference Letter)やタックスリターンまで要求するビルも結構多いのが現状。

すべての書類を揃えられない場合や、何を用意すればいいか分からないという場合がありますが、ブローカーがスムーズに手続きが進むようにお手伝いします。入居審査が迅速に進むような書類の書き方や、準備する書類等のアドバイスも私たちブローカーの仕事です。

初期費用の準備

書類を揃えるのと並行して、諸経費の支払いが発生します。前家賃(1か月分)、敷金(通常は家賃の1か月分相当)と、コンドミニアム入居審査費用、ブローカー・フィーです。入居審査費用はビルにもよりますが、相場は1000~1500ドルくらいです。申込金、クレジット/バックグラウンド・チェック・フィー、ムーブ・イン・フィー等がその内訳です。ブローカー・フィーは年間家賃の15%(家賃の1.8ヶ月分相当)が相場で、これには大家側ブローカーの分も含まれます。これらを合計すると、部屋を借りる時の準備資金の目安は家賃の4倍程度となります。

ニューヨークのコンドは契約書にサインしたからすぐに借りられるというわけではなく、引っ越してビルに入るためには、このようにビルの入居審査にパスしなければなりません。審査用申込書を提出してから承認がおりるまで3週間程度待たされます。賃貸を考えておられる方は、資金とともにこのタイムフレームもぜひ計算に入れておいてください。

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柏原知子 (Tomoko Kashihara)

柏原知子 (Tomoko Kashihara)

ライタープロフィール

大阪女子大学(現:大阪府立大学)卒業後、CBRE Japanに入社。東京で外資系企業のオフィス移転を担当する商業不動産ブローカーとして働いた後、ニューヨーク勤務を機に住宅ブローカーに転向。1999年より住友不動産販売NYで活躍した後、2021年に米系大手Compassに移籍。趣味は旅行、クルーズ、トレッキングとイタリア語。

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