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海外教育Navi 第6回
〜帰国後、編入学のための準備〜〈後編〉
記事提供:『月刊 海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)
- 2018年6月15日
海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団に所属するプロの相談員たちが一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。
Q.帰国後、帰国生のまったくいない学校に編入する予定です。どのような準備をしておけばよいでしょうか。
前回のコラムでは、日本の学校へ編入学をする際の、帰国前の準備についてお伝えしました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。
帰国後に心がけたらよいこと
海外からの帰国は、保護者にとっては長年住み慣れた日本への帰国、ホッとひと息といったところかもしれません。しかし、子どもにとってはそうとは限りません。海外に出国したときと同じように、これからの生活に対する期待感と共に大きな不安が入りまじり、第二の出国という気持ちの場合もあります。
そういった子の場合に限らず、帰国して日本の学校に入ったら、子どもが海外でどのような生活を送ってきたのか、どのようなことが得意あるいは苦手なのかなどを担任に伝えておくとよいでしょう。学校生活が始まってしばらくの間は、気をつけてお子さんを見守ってあげてください。
ただしあまり過度に干渉するのは禁物です。対応はつねに明るく、子どもの話にしっかり耳を傾け、助言が必要だと思われるときにはアドバイスを。子どもにとって、親が味方になってくれていると思えることが勇気につながるのです。
そして、もしこれは難しい問題だと感じたときは、早いうちに担任や校長、教頭先生に相談しましょう。子どもの自立や適応をはかっていくためにも、家庭と学校との連携がとても大切です。
もちろん、子ども自身の努力も不可欠です。海外での習慣や文化に慣れてきたように、今度は日本の習慣や文化にも積極的に慣れていこうという気持ちが大切です。それまで常識と思っていたことが非常識に感じて戸惑いを覚えることがあるかもしれません。さまざまな文化の違いを間違いとして受け止めるのではなく、新たな学びだと思い、その学びを楽しみましょう。
帰国生から「帰国生は英語が上手というイメージを持たれていて困った」という話を聞くことがよくあります。帰国生がかならずしも英語を得意とするわけではありませんから、そういったイメージにプレッシャーを感じる必要はありません。それほど英語が得意でないのなら、そのように言えばいいのです。ありのままの自分を見せましょう。仮に英語をうまく話せないことにプレッシャーを感じるとしたら、それはそれでよいチャンスです。プレッシャーをばねにして英語の勉強に精を出すのは素晴らしいことです。
ときには疎外感にとらわれることがあるかもしれません。そんなときは、自分の周りをじっくり見渡してみましょう。かならず自分を理解してくれる人がいます。その人はきっとよき友人となり、あなたを支えてくれます。
最後に
来る2020年の東京オリンピックを控え、「グローバル」ということばを以前にも増して耳にします。人・物・情報などあらゆる面でグローバル化が進む今日、学校教育において子どもたちの語学力やコミュニケーション力、多様なものの見方や柔軟な考え方といった資質や能力を育てることが強く求められています。このような中、帰国生が海外で学んできたことや身につけてきたことが、大いに生かされるべきだと考えます。
「郷に入れば郷に従え」で、変わらなければならないところは努力して変わりましょう。しかし変わらなくてもよいところまで無理に変える必要はないのです。むしろ周りが変わらなければならないこともあるはずです。自分に自信を持ち、得意とすることや長所をさらに伸ばしていってください。
では、最後にもう一度。
「ご心配なく、お子さんの力を信じましょう。必要なのは『なるようになる』といったぐらいの前向きな気持ちです」
教育相談員
菅原 光章(すがはら みつあき)
1979年から奈良県の公立小学校に勤務する。1983年より3年間、台北日本人学校へ赴任。帰国後は奈良市立小学校に勤務、教頭・校長を歴任する。また奈良県国際理解教育研究会の会長を務めた。退職後、奈良県教育振興会理事ならびに同志社国際学院初等部の教育サポーターを務める。2016年4月より海外子女教育振興財団の教育相談員。
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