アメリカ国務省のビザオフィスは、ビザ発行後にビザ保持者が飲酒運転(DUI)で逮捕された場合、ビザを取り消すよう領事館へ指示を出しています。たとえ飲酒運転で有罪判決が下されなかったとしても、飲酒によるすべての逮捕歴がビザ申請の一部として審議されます。
では、なぜ飲酒運転がビザ取り消しにつながるのでしょうか。これは、飲酒運転が移民法212条(a)(2)(A)(iii)項に規定される「危害を加える行為を伴う恐れがある身体的、もしくは精神的障害による入国拒否」に当てはまるとされるためです。 これにより、過去5年間に1回でも飲酒運転により逮捕された場合、もしくは過去10年間に2回以上の飲酒運転による逮捕歴がある非移民ビザ申請者は、ビザ発給前に、医師による診断を受ける必要があります。
以前は、飲酒運転の逮捕歴があったとしても、ビザ保持者の次のビザ更新までは何も影響はありませんでした。しかしここ数年で、ビザがすでに発行されている場合でも、飲酒運転の逮捕や有罪判決に基づいて、ビザ審査官はビザを取り消すことができるようになりました。アメリカでの手続き上、逮捕された際にお住まいの警察により指紋採取が行われますが、その逮捕記録が国務省の職員へ通知されます。それにより、国務省はビザ保持者のビザを取り消すことができるわけです。
ビザの取り消しにより強制送還されるということにはなりませんが、逮捕後にアメリカを出国した場合は、再入国時に深刻な問題となる可能性があります。重要なポイントは、ビザが取り消されても現在のアメリカでのステータスへの影響はないということです。つまり、ビザの取り消しによりアメリカを出国する義務は発生しないわけです。
しかし、ビザ取り消し後にアメリカを出国した際に、同じビザでアメリカに再入国することはできません。また、逮捕後すぐに出国し、国務省に逮捕歴の通知が何らかの理由でなされてないうちに再入国できたからといって、その次にも同じように再入国できるとは限りません。ビザが取り消されてしまった場合は自国へ戻り、大使館や領事館で再度、新規でビザ申請を行い、新しいビザを発行してもらわなければビザでの入国はできません。また、申請の際には飲酒運転の逮捕歴および法的処置に関する裁判所書類などの提出、およびビザ面接の際には、逮捕に関する説明が求められるでしょう。
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