アメリカ合衆国のどの州にも属さないワシントン首都特別区を、日本ではワシントンDCまたはDCと呼ぶことが多い。DCの観光局の方いわく、カリフォルニア州ロサンゼルス市が“Los Angeles, CA”と都市名、コンマ、州の略号の順で表記されるように、英語では“Washington, DC”と表記するのが正しいとのこと。「WashingtonとDCの間はピリオドでなくコンマ、DCにはD.C.のようにピリオドを入れずDCとしてください」と釘をさされたことがある。
DCとは、District of Columbiaの略号。Districtは地域、Columbiaはアメリカを発見したとされるコロンブスを表す。コロンブスに対して否定的な意見が交わされる昨今、これからDCがDistrict of Columbiaでなくなるのではと思ってしまう。そこで、行くたびに変貌し、何度も行きたくなる観光地としても特別なこの町を、Columbiaに代わるCで始まる言葉でご紹介したい。
数々の映画の舞台となっているDC
Washington, DCは数多くの映画に登場するCinemaの町。大統領が主役の映画では、必ずホワイトハウスのシーンがある。往年の名作『スミス都へ行く』でたっぷりと出てくる国会議事堂、『フォレスト・ガンプ』の主人公と幼馴染が抱き合うシーンでは、リンカーン・メモリアルやリフレクティング・プールが。
その高さと形でひときわ目を引くワシントン・モニュメントは、『ザ・ファーム』『ナショナルトレジャー2』に登場し、「自然史博物館」を舞台にした『ナイト・アット・ザ・ミュージアム2』もある。クリント・イーストウッド監督の『父親たちの星条旗』でテーマになる海兵隊記念碑(硫黄島に星条旗を掲げる像)は、ポトマック川を渡ったアーリントン墓地近くにある。
歩いて回ってもよいが、英語・日本語の各種ツアーに参加すると、これらの場所が効率的に見て回れる。
バラエティに富んだ美術館も楽しい
スミソニアン・インスティチュートに属するミュージアムは、基本的にどこも入場がComplimentary(無料)である。航空宇宙博物館、ナショナルギャラリー、動物園、植物園に至るまで無料。国立とあって貴重な資料や展示も多いので、事前に行き先を絞っておきたい。
どこも興味深いが、ユニオン駅近くの「国立郵便博物館」は、郵便の輸送手段の変わりゆく姿や郵便犬Owneyのストーリーなど興味深い展示が多く、穴場といえる。「国立アフリカン・アメリカン歴史文化博物館」は2016年オープンと新しく、人気が高い。ほかの博物館と違い、事前にウェブサイトでエントリーパスを予約しておく必要があるので要注意。
民間が運営する有料の博物館も、自然をテーマにした「ナショナル・ジオグラッフィック」、ニュースを切り口にした「Newseum」、スパイにフォーカスした「Spy Museum」など、話題は幅広い。
アメリカの歴史と政治を体感
政治の中心であり、日々Communicationが行われ、時にはConflict(対立)が起こり、結果としてConsensus(合意)、Concession(譲歩)が生まれるワシントン。国会議事堂は外から見上げるだけでなく、中からも独特の空気を感じたい。
Conspiracy(陰謀)が蠢き、さまざまな事件が起こるこの町には、リンカーンが狙撃された「フォード劇場」やニクソン大統領が辞任に追い込まれる事態となったウォーターゲートビルなど、アメリカの歴史を変えた場所がいくつもあるので、これらも押さえたい場所だ。
旅には外せないグルメ
そしてCulinary(食)。世界各国の大使館があるWashington, DCでは、世界中の料理が楽しめる。南部と北部の境目に位置するこの場所は、アメリカ各地の料理も充実している。チェサピーク湾の獲れたて素材を使ったシーフード、バージニアやメリーランドなど、近隣の州で育てた野菜や肉などを使った「ファーム・トゥ・テーブル」を標榜するレストランも多い。
そしてCaféの町でもある。アーリーアメリカンな雰囲気の「Founding Farmar’s」、DCのおしゃれなエリアに複数のお店がある「Busboys and Poet」など、カフェでもアメリカらしい食がふんだんに楽しめる。
外は歴史的だが中はContemporary(現代的な)なトランプホテル、Courage(勇気)の証、キング牧師の像など、行くたびに新しいものができていて驚かされるワシントン。一時期はCrime(犯罪)が多く危険なイメージがあったが、治安も良くなり、観光地としても大きくChange(変貌)を遂げている。日帰りでも、数日かけても見どころが尽きない、まさにDistrict of Culture, Capital of Sightseeing である。
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