アップステート・ニューヨークの魅力

50州(States)が集まって国(United States)を形成しているアメリカ合衆国。50州それぞれに産業、文化、気質、お国自慢があり、その特徴は車のナンバープレートにも表れています。国立公園の多いユタ州のプレートにはアーチーズ国立公園、フロリダ州は特産のオレンジ、ジョージア州はピーチなど、誇らしく描かれているのです。

2019年9月住民の投票により、5つの候補の中から新しいナンバープレートのデザインが選ばれたのが、ニューヨーク州。今回は大都会以外にも、魅力溢れるニューヨーク州をご紹介します!

圧倒的な支持を集めて2020年4月からプレートに描かれるのは、マンハッタンの摩天楼とリバティ島の自由の女神、アップステート北西部のナイアガラの滝、アップステート北東部のアディロンダック山地(ひょっとしたらアパラチア山脈の一部であるキャッツキル山地?)の3カ所が描かれたデザイン。ほかに自由の女神のみのデザインが3種類、マリオ・クオモ橋(旧タッパンジー橋)が1種類ということから、アップステートの2地域を含むデザインが選ばれたのは当然のような気がします。

ニューヨークの都心部とその近郊を除く地域がアップステートと呼ばれています。アップステートの中でもおすすめなのが、滝とワイナリーで有名なフィンガーレイクス地域。ニューヨーク市からは車で片道4時間以上かかるので日帰りは無理ですが、大都会のニューヨークとともにニューヨーク州自慢の場所です。

フィンガーレイクスの名前の由来は、まるで人間の指のように細長い11個の湖。太古の昔、氷河の移動によって浸食された谷に水がたまっていき、同じような形の湖が同じような方向(南北)に広がっていったのです。

コーネル大学の建物

この地域の南側の中心であるイサカ(Ithaca)という町には、アイビーリーグの一つ、コーネル大学があります。全米でもっとも美しいといわれるキャンパスには、まるでヨーロッパの歴史建築のような建物があるだけでなく、滝も湖も川もネイチャートレイルもあるという、大学のキャンパスとは思えないみずみずしい自然が広がっています。

キャンパスではぜひハーバード・F・ジョンソン美術館を訪れましょう。アンディ・ウォーホールやフランク・ロイド・ライトなどのアメリカ人アーティストの作品から、アジア、ヨーロッパの絵画、彫刻のコレクションまで充実しています。そのアートに勝るとも劣らないのが、最上階(5階)から一望できるキャンパス、イサカの町並み、そしてフィンガーレイクス地域の山並み。晴れても曇りでも、新緑でも紅葉でも美しく、まるでタイトルのない芸術作品のようです。

コーネル大学のキャンパス内

フィンガーレイクスには150もの滝があり、それぞれの滝が見せる表情はナイアガラの滝とはまったく違うもので、見る人を飽きさせません。州立公園として保護されている滝の周辺にはトレイルも整備され、豪快な渓谷の風景を存分に楽しめるようになっています。

イサカのトレイル

カスケードの落差66メートル、なんとあのナイアガラの滝よりも建物の3階分も高いタガノック滝(Taughannock Falls)。岩肌から流れ落ちる水がブクブクと泡立つ様子からその名がつけられたバターミルク滝(Buttermilk Falls)。さらに、Robert Treman State Parkという州立公園には、下流のエンフィールド滝(Enfield Falls)と上流のルシファー滝(Lucifer Falls)とがあり、どちらもダイナミックな景観を見せてくれます。

ルシファー滝

ニューヨーク州はアメリカで3番目のワインの産地。アメリカ最古のワイナリー「ブラザーフッド」がハドソン川近くの田園風景の中にあり、生産量だけでなく、歴史もあるワインどころです。

ロングアイランド、ハドソン川流域などマンハッタンから車で1〜2時間の場所でも生産されていますが、フィンガーレイクスには100を超えるワイナリーがあり、州内でもっとも大規模にワインの生産を行っている地域です。セネカ湖畔の「Lamoreaux Landing Wine Cellars」や「Wagner Vineyards Estate Winery」など、湖やブドウ畑の爽やかな風景とともにテイスティングできるのが、フィンガーレイクスのワイナリーめぐりの魅力。地ビール工場やウィスキーの醸造所もあり、お酒好きにはたまりません!

ワイナリーからの景色

ネイティブアメリカンの伝説では、部族の神がこの地をみずからの手で清めた後にフィンガーレイクスが残されたと伝えられています。そんな神話が素直に信じられるほど、神秘的なまでに美しい自然を楽しめるフィンガーレイクス地域。マンハッタンなど大都会のニューヨークとともにぜひ体験したい場所です。

東海岸の広大な地域には驚くほど豊かな自然と、魅力的な観光資源が広がるアップステート。ナンバープレートにある、ナイアガラ、アディロンダック(キャッツキル)以外にも、歴史ある温泉や競馬で有名なサラトガ・スプリングス、陸軍士官学校のあるウェスト・ポイントやロックフェラー邸、屋外アートの博物館などがあるハドソン川地域、野球やボクシングの殿堂博物館のある中央ニューヨーク地域など、さまざまな見どころがあります。ニューヨークへお越しの際は、大都会と一緒にアップステートにも出かけてみませんか? きっと、お気に入りの場所が見つかるはずです。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

石井光 (Ishii Akira)

石井光 (Ishii Akira)

ライタープロフィール

旅行会社勤務。広島出身。在米12年。ジョージア、ウィスコンシン、ニュージャージー、テキサス、カリフォルニア、ワシントン州を経て、現在2度目のニュージャージー生活。その間アメリカの都会から地方まで40州200都市以上を訪問。あるときは真正面から、またあるときは裏側から、アメリカ各地をご紹介します。

この著者への感想・コメントはこちらから

Name / お名前*

Email*

Comment / 本文

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る