海外教育Navi 第9回
〜受験のための一時帰国〜〈前編〉

記事提供:『月刊 海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団に所属するプロの相談員たちが一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。

Q.受験のために一時帰国します。宿泊先を含め、帰国時や滞在中の留意点を教えてください。

受験計画・帰国計画

帰国後の受験に際して、どの学校を選ぶかはお子さんと保護者の皆さんの最大の関心事でしょう。

ある程度絞ったところで、できましたら志望の学校を直接訪問して、くれぐれもお子さんや保護者の皆さんと学校との間にミスマッチがないようにしてください。

さて、受験したい学校が決まっても、日程が重複すると受けられない学校も出てきます。願書受けつけ締め切り日や合格発表日・入学手続きの締め切り日も考慮しなくてはなりません。

入試の日程は公立の場合は都道府県や市町村、私立は学校によって異なっています。さらに帰国生入試、推薦入試、編入学試験、海外入試などは日程が別になりますから、それぞれの学校ごとに確認が必要です。

東京都(2018年)を例にしますと、私立中学校の一般入試の多くは2月1日から始まります。都立中等教育学校、国立大附属校の入試も同じような時期です。私立高校の一般入試の多くは2月10日から、都立高校の一般入試は2月23日です。

帰国生対象の入試はそれぞれの学校が独自に設定し、早い学校では秋から始まり、1・2月がピークになります。長い期間にわたりますから、受験したい学校が決まっても日程に合わせた調整が必要になります。

海外に教室を持つ日本の塾のなかには、この時期に講師が受験生を引率して合同で合宿しながら受験させるツアーを行っているところもあります。

一時帰国中の生活、宿泊場所

一時帰国するときの宿舎については、留守宅、親戚・知人宅、ホテル(旅館)、ウィークリーマンション、会社の社員寮、学生寮(塾の寮を含む)などが考えられるでしょう。

留守宅があればいちばんよさそうですが、食事の調達をはじめ、集金や訪問者の対応、水道・ガスなどの対応、洗濯などが必要になりますので、特に単身で帰国する場合は注意が必要です。

知人宅にお世話になる場合、お子さまにとっても気のおけない間柄で、独立の部屋が用意されているくらいでないと余計な気を遣うこととなります。

ホテルや旅館に宿泊するのであれば、受験校近くの駅から遠くないところが取れると便利です。学校見学の際に候補を探しておきましょう。

学校の多い都市部では1〜3月には一般の大学の受験生も集中しホテルが非常に取れにくくなっています(逆にいえば受験生に対応した宿泊プランのあるホテルもあります)。

近年はこれに外国人旅行者の増加が重なって宿泊場所探しを難しくしています。宿泊場所は日程が決まり次第、なるべく早急に確保すべきでしょう。単身で帰国する場合は安全安心のためにも、生活にリズムをつくるためにも、毎日定時に連絡を取ることをお勧めします。

交通手段

都市部で宿舎が受験会場の近くに取れない場合、会場までの交通手段についてはあらかじめよく調べておくことが大切です。日本の生活に慣れていないお子さんが単身で帰国する場合は特に注意してください。

宿舎から受験会場までの交通ルートは、ウェブサイトを使えば利用交通機関・時間・料金について複数のルートを調べることができます。なお、都市部では十分くらいの電車の遅延は毎日のように起こっています。さらに雨天になると電車だけでなく、特にバスの遅れがひどくなります。駅前のタクシー乗り場も長蛇の列となります。

大きな事故・遅延の場合は学校の方で対応してくれるはずですが、お子さんは動揺することでしょう。途中で一部歩く場合も含めほかのルートがわかっていると安心です。

大きな地震など天変地異のときは慌てず自分の身を守ってください。大雪など影響の大きさがわかりにくい場合もありますが、その目安は電車が止まったかどうかです。

大きな交通障害が起きている場合は学校が試験延期などの措置をとりますから慌てる必要はありません。そのような際は多くの学校がホームページに情報を出しますからスマートフォンを使ったり家族や知人に連絡したりして確認できるようにしておいてください。

いくつもの交通手段を使う場合、各都市にある交通カードが便利です。首都圏では「PASMO」(パスモ)と「Suica」(スイカ)がJR、私鉄、バスなどに共通に使えるので便利です。関西圏などにも同様のカードがあります。

海外生にとって日本の電車のラッシュは大きな壁です。混んでいる電車に乗れないので遅刻してしまったという話もよく聞きます。おおむね平日朝の都心に向かう電車のラッシュがひどいので、受験の日に乗る時間帯の電車の混みようは見ておきたいところです。

さらに、念のため駅のトイレの場所を調べておきましょう。朝の駅のトイレは混んでいることもあります。ただし、できるだけ出かける前に済ましておいた方がよいのはもちろんです。

また道路事情も違いますので、自転車で行くのは自宅近くでもないかぎり避けましょう。

「第10回 〜受験のための一時帰国〜〈後編〉」を読む。

今回の相談員
教育相談員
中山 順一

帰国子女の受け入れを目的に創立された国際基督教大学高等学校で創立2年目から38年間勤務。6000人以上の帰国生徒とかかわった。2008年より教頭。教務一般以外に入試業務(書類審査を含む)も担当した。2017年より海外子女教育振興財団で教育相談員を務める。

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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