海外教育Navi 第16回
〜親として、現地校の行事への関わり方〜〈後編〉

記事提供:『月刊 海外子女教育』(公益財団法人 海外子女教育振興財団)

海外勤務にともなう子育てや日本語教育には、親も子どもも苦労することが多いのが現状。そんな駐在員のご家族のために、赴任時・海外勤務中・帰任時によく聞くお悩みを、海外子女教育振興財団に所属するプロの相談員たちが一つひとつ解決すべくアドバイスをお届けします。

Q.私は英語ができません。現地校の行事やボランティアにはどのようにかかわっていけばよいのでしょう。

前回のコラムでは、主な学校行事とPTA主催の行事などについて説明しました(前回記事へ)。今回はその続きをお話しします。

学校でのボランティア活動とは?

学校行事のほかにPTA主催で行われるイベントなどもあり、保護者のボランティアが大活躍。おもに寄付金集めが目的のものが多く、活動で得た収益金は学校側に寄付されます。

また「クラスマザー」といって、クラス内で教師の手伝いをする活動もあります。事務的な手伝いやテストの採点、教材づくりにもかかわります。図書室ではボランティアが本を管理し、子どもへの読み聞かせを行うこともあります。

高校でも保護者は大活躍。マーチングバンドでは衣装の管理をいってに引き受けてクリーニングに出したり、新学期には新入生のサイズ合わせをしたりします。

スポーツのクラブではAway (遠征)があるのですが、つき添いとして同行します。バザーやガレージセールを開催して、熱心に運営資金集めをします。

保護者だけでなく子どもたちも資金集めにひと役買っています。クリスマス前になると、ラッピングペーパーやクリスマスグッズのカタログを手に、親戚や近所を回ってオーダーを取るのです。

また「Fun Run」という面白い寄付集めもあります。子どもはグラウンドを1周走るごとにもらえる金額を親に決めてもらい、当日、自分が何周したかで寄付の額が決まります。たとえばある保護者が1周を50セントと決めたとします。子どもがグラウンドを6周した場合、合計3ドルとなり、保護者はその額を学校へ寄付するわけです。このようなイベントでもボランティアが率先して活動しています。

日本人保護者とボランティア

ことばに不安を抱えていても、できるだけ学校内のボランティア活動に協力しましょう。学習言語も身につけていない手間のかかる子どもが、学校や教師にお世話になるわけですから。

お子さんが通われる学校に日本人家族が多い場合、日本人会のようなものがあるかもしれません。その場合は皆さんと共に活動に参加されるとよいでしょう。

編入して間もないお子さんにとって、学校生活はたいへん不安。そのとき母親の姿が近くにあると、子どもはとても安心して落ち着きます。「お母さんもがんばっているんだから、自分も苦しいけどがんばろう!」と勇気が湧いてくることでしょう。

学校内で手づくりバザーがあるときには、手芸品やクッキーなどのお菓子をつくって出し、また教師への感謝の気持ちを表すTeachers, Luncheon が開かれるときには、お得意の日本料理などをつくって持参するとたいへん喜ばれます。

また英語を勉強したいと考えている保護者のかたは、学校にたびたび足を運びましょう。机上の勉強だけでなく、生の英語を聞くことでとても勉強になります。多くの国のかたがたと交わることができるよい機会でもありますから、ボランティアを通じて友人を見つけてみませんか!

育てられたボランティア精神

子どもたちが現地校で学んでいるころは、私もよく学校に出かけて活動していました。私に芽生えたボランティア精神は、アメリカ社会に育てられたと言っても過言ではありません。

次女が5年生のとき、担任の先生から「今度、クラスで劇をするので、バックの絵を描いてもらえませんか? ジャパニーズは手先が器用だからお願いします」と依頼されました。不安な心を押さえながら「ガンバリます!」と即答。それから週に3日学校に通う日々がスタートしたのです。

アメリカ人ママも3名ほどいっしょでした。初代アメリカ大統領ジョージ・ワシントンの劇に、星条旗は不可欠。「ルミ、どうやって描くの?」と日本人の私に頼るママたち。共同作業でなんとか背景の絵を描き、ようやく完成にこぎつけたという懐かしい思い出です。

これまでに行ってきた活動は、補習授業校父母の会役員、そして今年で22年が経過したJERC日米教育サポートセンターでの海外在住日本人子女の教育サポート活動。教育アドバイザーとして、たいへんやりがいのある活動に身を置いていることに日々感謝しています。

「自分の時間を割いてでもするのがボランティア、時間があるときにするのは、ただの暇つぶし」とは、ある偉い先生が言われた印象的なことば。これぞ「ボランティア精神」なのですね。

自ら手を挙げて、自分の時間を有効に使ってみませんか? さまざまな活動を経験することで、子どもへのよい影響が望め、そして何よりも自分自身の人生の広がりを実感できます。

さぁ、勇気を出して! 未知の社会へ探検に出発。海外での貴重な生活で、親と子が共に歩んだ足跡を残しましょう!

今回の相談員
JERC日米教育サポートセンター代表兼教育アドバイザー
岩永留美

1987年に夫のアメリカ赴任に伴い、当時小学5年生と2年生の娘を帯同して渡米。90〜91年、ロサンゼルス補習授業校あさひ学園父母の会会長を務める。95年にJERC日米教育サポートセンター理事兼教育アドバイザーとなり、日本人家庭からの教育相談を受けているほか、教育オリエンテーション等を開催している。海外に住む日本人の子どもの日本語/国語教育にも従事。
http://www.jerc.org

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公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

公益財団法人 海外子女教育振興財団 (Japan Overseas Educational Services)

ライタープロフィール

昭和46年(1971)1月、外務省・文部省(現・文部科学省)共管の財団法人として、海外子女教育振興財団(JOES)が設立。日本の経済活動の国際化にともない重要な課題となっている、日本人駐在員が帯同する子どもたちの教育サポートへの取り組みを始める。平成23年(2011)4月には内閣府の認定を受け、公益財団法人へと移行。新たな一歩を踏み出した。現在、海外に在住している義務教育年齢の子どもたちは約8万4000人。JOESは、海外進出企業・団体・帰国子女受入校の互助組織、すなわち良きパートナーとして、持てる機能を十分に発揮し、その使命を果たしてきた。

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